プルースト美術館―『失われた時を求めて』の画家たち

プルースト美術館―『失われた時を求めて』の画家たち

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  • サイズ A5判/ページ数 227,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784480838056
  • NDC分類 953
  • Cコード C1098

内容説明

平易にして創見にみちたプルースト文学への誘い。二十世紀を代表する傑作『失われた時を求めて』に登場する六人の画家をとりあげて、彼らの画がいかにしてこの傑作の芸術的根拠になりえているかを問うて、プルーストの創作の秘密にスリリングに迫る。

目次

第1章 コンブレーの睡蓮とモネ
第2章 ジョットの寓意像と天使
第3章 フェルメールの「黄色い小さな壁面」
第4章 エル・グレコのオリジナルと図版
第5章 カルパッチョのなかの恋人と母親
第6章 ギュスターヴ・モローと芸術家の使命

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

55
『失われた時』では妊娠した女中がジョットの「慈愛」に喩えられる。「慈愛」の女は金貨の袋を踏んでおり、語り手の少年はそのあまりに現実的な姿態を《果汁を搾り出す為にブドウの実を踏み潰している》ように感じるのだ。初期構想では、この「慈愛」は成人した語り手とピュトビュス夫人の小間使を結びつける鍵でもあったらしい。つまり身分の低い女との情交は、愛など少しも意識しない逞しい「慈愛」の女を軸に構想されたというのだ。本書を読むと、プルーストの小説で絵や彫刻の果たす役割が大きいのに驚く。両者のコラボはとても新鮮で魅力的だ。2016/03/27

燃えつきた棒

33
本書には、『失われた時を求めて』に出てくる六人の画家、モネ、ギュスターヴ・モロー、フェルメール、ジョット、カルパッチョ、エル・グレコが取りあげられている。 著者は、プルーストがいつ、どのようにこれらの画家の作品と出会い、どのように小説に採りいれたかを、具体的資料で明らかにし、それらの画が小説中でどのような役割をはたしているかを考察している。 本書を読めば、プルーストの小説の解像度が一段と上がることは間違いない。 至るところに三十年にわたる著者の探求の成果が散りばめられており、それらを読めばプルーストの➡︎2025/05/13

ラウリスタ~

11
現在岩波文庫で『失われた時を求めて』の翻訳を進めている吉川先生の著書。岩波文庫ではこれらの研究成果が思う存分に反映されていた。『失われた・・・』は多様な読み方を許容する作品で、一種の芸術論として読むことも出来る。作中に登場する絵画についてそれを同定し、作家がいつ、どのようにその絵を見たのかを検証する。まさに重箱の隅をつつく研究であるが、それが実は重要。あのプルーストが他人の文章を剽窃していたことが衝撃だった。ばれないと思ったのだろうか?2011/07/19

Christena

10
『失われた時を求めて』を読んでいると、絵画に例えた描写が多く出てくる。それを丁寧に拾って解説したもの。失われた〜に隠された伏線や、プルーストの書簡、草稿、他の作品にも言及。これで今度こそ最後まで読めるかな...。2014/08/07

zakuro

5
本編第11巻訳注に度々登場した本書を副読本として読んでみる。定価4800円にびっくりするけど、カラーページの少なさにガッカリ。文章部分の紙質を下げても絵はカラーじゃなきゃ色がどうのという解説がさっぱり分からん。エルスチールを語るのにターナーをメインにするのかと思ったらそれはまた次回との事。ベネチアでの描写が好きだったのに、そこの部分が盗用と知って、これまでなんとなく抱いていた作者への不信とこれが名作と呼ばれていることへの疑問が一層強くなった。いや「そういうことは些末なことさ」と目をつむって読み進めるのだ!2017/07/18

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