かくも長い時にわたって

かくも長い時にわたって

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  • サイズ B6判/ページ数 378p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784480836038
  • NDC分類 950.28
  • Cコード C0098

目次

1 水源の構造(マドレーヌの1きれと日本の水中花;プルーストのヴィジョンを開花させたネルヴァル;「心情の間歇」;「芸術作品」)
2 近ごろ、析にふれて(マルセル・プルースト;『花咲く乙女のかげに』という小説は…;『ゲルマントのほう』の空間とドラマ;『ソドムとゴモラ』への船出;『見出された間の』の筋を追って)
3 昔と近ごろとのはざま(奇遇;『千一夜物語』とプルースト;岸田国士とヴィスコンティ;ヴィスコンティ=プルースト『失われた時を求めて』の邦訳シナリオによせて〈序文〉;映画『スワンの恋』を観る)
4 昔の文反古(マルセル・プルーストの方法―1913年を中心にして;フランス現代小説の転回期とマルセル・プルースト;新心理主義の文学)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

46
井上先生のプルースト論集成。この本の、特に最初の章から理解したのは『失われた時~』を貫く小説体系は、ある感情が時と習慣に埋没してゆく「心情の間歇」であること。これは、ある出来事によって埋没した記憶を見出す特別な時間と密接に結付いていること。この方法で描かれた大小の挿話が時の異なる次元で響きあう物語で作者が示したのは自伝的回想などではなく「死の支配に属さない」、永遠の何かだということ。そんな論を追いながら、自分はプルーストが求め、美しい円環に閉じ込めたそれを見るためにあの長編を読むのかなと思ったりしました。2017/07/10

syaori

29
『失われた時を求めて』の訳者である筆者のプルーストに関する文章を集めた一冊。最初の「マドレーヌの1きれと日本の水中花」が全体の素晴らしい導入になっています。マドレーヌを浸した紅茶から、コンブレーの叔母の家が、その裏の父母の住居と庭が、スワンの庭が、ヴィヴォーヌ川の睡蓮が、さらにもっと遠く、遥かな空間が水中花のように広がってくる場面に言及したもので、あの場面で感じた高揚感を追体験することにより自分の『失われた時』の記憶も花開き、ネルヴァルとの関係、各篇や作品構造を巡る考察の間をゆったり漂うことができました。2016/09/07

袖崎いたる

10
『失われた時を求めて』が文学史上非常に取っ付きにくい作品であることは周知の事実といって差し支えないだろう。とはいえ読まれてきた事実もあり、そういった既読者たちの概ねが「読んでよかった」とか「読むべきだ」などと仰るのも事実。著者はその長大な小説の代表的研究者なわけだけれど、ぼくが彼、及びこの著作に求めたのは彼がかの小説へと「かくも長い時にわたって」拘り続けたというその欲望の転移である。動機はあっても持続が困難な読書があるのなら、それを持続してきた人物の欲望を拝借すればいいのだ!――などと思って読みました~。2017/05/25

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2
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