内容説明
外国語を学ぶには良い副読本が必要です。ヘンテコリンでいいかげかでもいい。文法や規則にとらわれないバイリンガルたちのたくましいコトバの知恵の実際を、雑踏から報告する(どっかで役立つ)楽しい外国語案内。
目次
ことばの旅行術=実践篇(ブライトン・ビーチのロシア語街;がんばれ、イディシュ語;アメリカの中のポーランド;「英語は話せなくてもいい」;自分のことを笑っているんだ、あんたたち!;ぼくの蘭学事始;英語だけが外国語ではない)
ことばの旅行術=理論篇(「僕って何?」;外国語は体を張って読もう;挨拶は面白い;持つべきものは「偽の友」;バイリンガルなんてこわくない;電話のかけ方;とてもセクシーなことばたち;松と椰子の悲恋)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
19
ロシア、ポーランド文学を学ぶ著者がアメリカ留学の体験を交え、言葉を巡る問題を楽しく語る。いかつい商店主にポーランド語で話しかけると、とたんに打ち解けたエピソードを読むと、話者が少ない言葉を学ぶと多くの人とは話せない代わりにより深く交流ができるように感じた。また、東欧のユダヤ人の母語であるイデッシュ語の成り立ちを見ると、異なる言葉同士の出会いにより生じる互いの化学変化、ダイナミズムが興味深い。「これほど互いに違いあっているのに、なんとか理解しあうことができる」という驚きを抱く著者の楽観が希望を感じさせる。2023/01/12
よしおか のぼる
1
こういう文章が書けるようになりたい。2021/12/25
鴨長石
1
白水uブックスの方が手に入らず、こちらを図書館で借りて読む。異言語・異文化の話は誰に聞いても面白いが、本書は描写力が抜群で素晴らしい。コロナ禍の今、コミュニケーションはすべてオンラインで済むと思っている人や、マスクによって顔の大半を隠すことを何とも思わないような人がこんなにもいるのかと驚愕しているが、本書にある通り、コミュニケーションのうち言語が占める割合はそれほど多くない。どうすればこのことを世間が分かってくれるのかと頭を抱えている。2020/12/20
ARISO
0
これはロシア語・ポーランド語を中心としていくつかの言語を話す著者が世界各地で遭遇した言語に関するエピソードを集めた本である。アメリカで講座をとったイディッシュ語(ユダヤ人の言語)、ベルリンで英・独・仏以外にセルビア・クロアチア語の使用説明までついた電話ボックスがあったのに驚いた。 ある場で見事に通訳した女性に「君はすごいねえ、バイリンガルだねえ」と声をかけたら彼女は「はい、そうです」と答えたので憤慨した。日本では「ほめられたら謙遜する」というのが礼儀なので、それを知らなかった女性が失敗したと言う。 2021/10/21