出版社内容情報
『82年生まれ、キム・ジヨン』著者のデビュー作にして傑作! 抜群の聴力を持つ少年がテレビのサバイバル番組に出場し……。著者インタビューも必読!
内容説明
『82年生まれ、キム・ジヨン』著者チョ・ナムジュのデビュー作!抜群の聴力を持ちつつも、周囲からさげすまれる少年。衰退する市場の起死回生を図る店主。業界での生き残りを賭けるTVディレクター。三者三様の悲喜こもごもは、壮大なサバイバルゲームへとなだれ込み、三つのカップのように渦を描く。文学トンネ小説賞受賞の傑作!
著者等紹介
チョナムジュ[チョナムジュ]
1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる
小山内園子[オサナイソノコ]
1969年生まれ。東北大学教育学部卒業。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
31
こうして何とも冴えない三人が繋がった。チョ・ナムジュも賭けが好きらしい。デビュー作として多くの支持を集めたいなら、このエンディングにせず、“ささやかな家族との日々に幸せを見出す姿”を出して終わりにしたはずだ。こんなオープンエンディングでは、読者が気になって仕方がない。韓国はIMF通貨危機で支援を仰いだ際に、企業の大量リストラを命じられた経緯がある。三人の主人公たちは、直接その時代の影響を受けたわけではないが、ずっと国際社会からの負債をひきずっている韓国で、切り捨てられる側の人間である。2024/09/11
ケイティ
29
『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者が2011年に文学賞受賞したデビュー作。かなりポップでドラマや映画化しそうなエンタメストーリー。市場を盛り上げるためテレビで取り上げてもらおうと、あるゲーム大会企画を制作会社に持ち込んだ市場の総務、その番組担当PD、特殊能力を持ちゲームに参加する少年が、それぞれのサバイバルと思惑を抱えて挑む大会の顛末を描く。直接的な描写はないのに、この13年間で急速に成長した韓国社会を感じさせる疾走感に満ちていて、切羽詰まった生き様の描写が見事。ディテールも凝っていて一気読みでした。2024/05/09
tom
24
韓国の小説。特別な聴覚を持つ少年、アバズレ・ディレクター、中途半端な市場の商人、この三人のドタバタ劇として読む。外国ミステリーは「世界旅行」と喝破した読友さんがいるけれど(ほんとうにそうだと思うのだけど)、この小説もお隣の国の雰囲気を見せてくれているかもという気持ちになる。でも、面白かったかと問われたら、どうなのかな。これから少年がどうなるのか、これを語ってくれないと、物語は終わらないよなという読後感。2024/05/09
えりまき
16
2024(126)「82年生まれ、キム・ジヨン」のチョ・ナムジュさんのデビュー作。ハラハラドキドキで一気拝読。母オ・ヨンミ、父キム・イングと鋭い聴覚を持つ息子キム・イル。セオ市場の商人会総務ソン・ギソプ。テレビ番組の統括プログラム・ディレクターパク・サンウン。チョン・ギソプがセオ市場の再起をかけて企画した「イカサマ大会」をテレビで取り上げたパク・サンウンと、一攫千金を目指すキム・イル家族。 2024/05/06
harumi
14
おそらく発達障害で聴覚過敏な少年と、彼を金儲けに利用しようとする両親、起死回生で一発当てようとするパワハラちっくなテレビプロデューサーとうだつの上がらない商店会の代表。少年を取り巻く大人たちの浅ましさと滑稽さに苦笑いしつつ、スピード感のあるストーリーで一気に読めました。この少年の親も、もう少しお金に余裕があればこんなことにはならなかったでしょう。発達障害に関する知識があればこの少年にはもっと違った人生が待っていたのかもと思います。韓国の貧困問題もちらりと頭を掠めました。2024/08/03