出版社内容情報
絶望の極北の闇にも希望の光は射すか──戦後フランス社会の激動の中で孤軍奮闘する主人公の、儚い幸せと過酷な運命を描き上げた深いペーソスが胸をえぐる衝撃作。
内容説明
68年世代のポールは、まばゆいばかりの美しい富豪令嬢と出会い、結ばれる。写真家としても大成功をおさめた幸運な日々…そこに突如、すざまじい悲劇がつぎつぎと襲いかかる。ミッテラン大統領も登場、マラソンの円谷選手の哀切な死が綴られたり、スリルいっぱいの展開と絶望のさい果てのペーソスが胸をえぐる、フランスでベストセラーの話題作。
著者等紹介
デュボワ,ジャン=ポール[デュボワ,ジャンポール][Dubois,Jean‐Paul]
1950年トゥールーズ生まれ。左翼系週刊誌『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』のリポーターとして活躍する一方で、1994年の処女作『ぼくは人生が怖い』以来、精力的に小説を書き続けている。『フランス的人生』がベストセラーとなり、2004年度のフェミナ賞を受賞
吉村和明[ヨシムラカズアキ]
1954年横浜生まれ。上智大学教授。専攻は19世紀フランス文学、表象文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がんもどき
8
この本の主人公は大体僕の親と同世代。子供ができたり結婚したりという人生の一大イベントがぼんやりとあっという間に終わるのが驚きだった。主人公は投票に行かないのに、本の区切りが各フランス政権者というのも皮肉で、これがフランス的ということだろうか。2025/02/12
min
0
まるでライ麦畑のようだった まったくの平凡ではない人生が人生として語る時、だからこそこれが人生なのかと思わせる本。2009/07/16
nora
0
<ぼくたちは空虚の縁にいて、世界の頂上でかろうじて平衡を保っているのだった>1950年生まれの主人公が辿る波瀾の人生。エロチックでシニカルで自由で孤独・・・作者も主人公もそして私もほぼ同じ歳。描かれる激動の半世紀の出来事を、同じように体験してきているので、さりげない言葉でさえも、ある種特別な輝きや暗いくすみを帯びて読みとれる。激しく心揺さぶられる読書だった。2009/05/05