競売ナンバー49の叫び

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  • サイズ B6判/ページ数 329p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480831293
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

現代アメリカ文学史上最大の謎の作家による、隠喩と多義性に満ちた問題作に、本邦初訳短編を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

61
難解な作家の中編小説。はるか前に読んだときはよく読み取れなかったが、読書力アップと「重力の虹」で凄みに開眼したおかげか、実に面白く再読。近ごろ読んでいたクー・クラックス・クランについてや三十年戦争の新書が参考になった。ときおりの詩情にみちた比喩と描写や、なによりも過剰な情報量と底知れない著者の企みに畏怖しながら読み進んだ。とても万人にすすめる作家ではないが、擦れっ枯らしにはたまらない作品。量的に短めなのがよろしい。文庫版と違いこの単行本は、装丁が凝っており、レメディオス・バロの絵が折り込まれている。2017/04/29

tomo*tin

21
なんというカオス。なんという情報量。なんという暗喩の海。そして、なんという面白さ。一緒に海底まで潜りこんで酸素が足りなくなって鼻から水が入って脳味噌痛くなって窒息死するーと苦しみながらも蠢くあれやこれや塩分濃度の本当の意味を知りたいが為に浮上はできなくて、もはや私はピンチョンに弄ばれている。記号とパラノイアとアメリカ。異常と正常。存在の有無。解釈は読者次第。物語の外側に置いていかれるか内側で迷子になるかも読者次第。つーか本文の4分の1が解注とかってすげえよ狂ってるよ。でも好き。2009/05/09

兎乃

19
今回はピンチョンの面白さが少しわかったような気がする。また、しばらく置いて読むかもしれない。ちょっと疲れたし、何度目の再読か覚えてないけど、とにかく、今回はフォーカスがやっと合った。ピンチョンになされるがままシナシナとハマるのがコツなんだな。2012/12/10

ミツ

14
傑作。表題作の他に短編「生かすも殺すもウィーンでは」と訳者である志村正雄氏による精緻な注解が収録されている。初めてのピンチョン作品だったが読書をしていて鳥肌の立つ、全身が震えるという貴重で喜ばしい経験を久々に味わった。錯綜する膨大な量のプロット、百科全書的な記述、幾重にも張り巡らされ織り重ねられた暗喩の網の目のなかで右往左往し解釈の快楽に溺れるのはとても楽しかった。啓示として何かを指し示しているようでその実のところは不明な言葉、記号、あるいは陰謀。そのような世界では人は最早パラノイアとなる他にない。2009/10/28

耳クソ

12
これが当初は志村正雄ではなく、歌人で劇作家であるあの人によって訳される予定だったことが訳者あとがきで明かされたのが最大の驚きだった。それ以外は、やっぱ勉強が足りねぇな自分……と感じながら読むしかなかった。陸上部だったとき、大会でめちゃくちゃ良い姿勢で最後までめちゃくちゃ速く走り抜ける奴に、いくら力を振り絞っても追い付けずたくましい背中だけが前方の視界で小さくなっていく光景を、ピンチョンの文章を読むと思い出す。2021/03/22

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