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内容説明
1958年、革命のベネズエラ。その激動の一年に彼は何を見たのか。ガルシア=マルケスの筆の中で「事実」は「物語」へと変貌する…。“ニュースが物語であった時代”を彷彿とさせる。異色のルポルタージュ。
目次
市民が通りを埋めた日
戦う聖職者
命の猶予は十二時間
杭につながれて四年
潜伏からの帰還
さよならベネズエラ
七つの死―真相を追って
1958年6月6日、干上がったカラカス
ベネズエラは犠牲を払うに値する
ベネズエラを揺さぶった72時間
続72時間・憶測の彼方で議長は一服
貧困のなかの楽園
セネガルの譲渡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまはるか
18
マルケスが特派員としてヨーロッパ滞在後、隣国ベネズエラに雑誌記者として滞在した1950年頃の短編作品。子どもを噛んだ飼い犬が狂犬病と判明し、5千キロ離れたアメリカに血清を求め12時間以内に空輸する話、旱魃で節水を求める声を無視して庭に水を撒く人の前で都会が干上がっていく話、クーデターの話など記者として社会から拾い上げたテーマが多い。財政破綻した国を救うため、帰化した市民が「来た時は文無しだった」と言って感謝の念から1万ボリーバルを寄付する話は移民社会について、新しい視点に気付かされた。2025/01/14
かもめ通信
15
独裁政権の終焉とそれに続く混乱のベネズエラを描いたガルシア=マルケスのルポルタージュ集。当時実際に地元で発行されていた雑誌に掲載されたものの中から訳者が選んだという13のルポは極上の短編小説のよう。読みながらいつのまにか心躍らせ、手に汗握り、“登場人物”の行動にいちいち罵声や声援を送りたくなって気力も体力も消耗する。こんな連載がある週刊誌なら迷わず定期購読してしまいそう、そして良い悪いは別として、彼のものの見方考え方に大きく影響されてしまいそうな、ある意味とても恐ろしく魅力的なルポルタージュ集だった。2015/02/28
とりぞう
2
描かれる物語時代は大昔のことであり、かつ「地球の裏側」でのできごと。しかしその「内容」を捨て去ったときの「描かれ方」が非常に面白い。こんな描き方があるのかと感心しつつ一気に読了。2010/10/17
Q
1
ルポルタージュらしいが、作話なのでは?と思うほど、ドラマチックに書き上げている。凄い。2021/01/18
Kenshi
1
不条理小説めいた「1958年6月6日、干上がったカラカス」、ゴミの山と派手なファッションの対比が面白い「貧困のなかの楽園」が良かった。2018/03/31