内容説明
ときに陽気に、ときに美しく、ときに恐しく。伝承のなかにしたたかに生き、現代のファンタジーによみがえる妖精たち。民俗学・妖精学の第一人者による論考。
目次
第1部 妖精界の住民たち(妖精の系譜;妖精の国;人間を守る妖精;忘れられた神々と自然の精;死者たちの群れ;ホブゴブリンと小鬼のインプ;巨人、妖婆、怪物;妖精の動物;妖精の植物;まとめ―イギリスの妖精たち)
第2部 妖精と人が出会うとき(人間に依存する妖精;妖精の国の時間と季節;妖精の道徳律―よい妖精悪い妖精;とりかえ子と人間の産婆;妖精の妻と妖精の恋人;妖精と出会った不思議な経験;妖精の本質とその起源)
第3部 文学のなかの妖精(18世紀の妖精詩人;19世紀の妖精詩人;外国からやってきた妖精たち;子どもの道徳を向上させる妖精;民俗学者と収集家;ユーモラスに描かれた妖精;気まぐれな空想から生まれた妖精;よみがえる妖精物語)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くみ
11
「妖精ディックのたたかい」を読んで作者に興味を持ちました。私は妖精といえばティンカーベルを思い浮かべますが、これはかなり近世になってからのイメージということに驚き。元々は「ディック」のような感じが伝承的なんですね。資質も様々で一概にいいとか悪いとかいえない。こんな感じが白黒はっきりつける傾向にあるキリスト教と相性悪かったんかなあと思いました。妖精と悪魔が混同されるとか、妖精は堕天使の末裔という伝承もあるとか、ちょっとオタク心を刺激されるわー。読んでて自分でもびっくりするほどワクワクしました。2020/11/29
j1296118
0
十二世紀のジラルダスから二十世紀にまで至る英国妖精伝承とその解説や美術・文学等への影響を述べる。ウェールズ・コーンウォール・スコットランド・アイルランド北部(アルスター)が主体と思ったがイングランドからの伝承も結構あった。本編では軽く題名を述べたに留まり註で数行紹介される伝承の中にもなかなか面白そうなのが2015/07/26
しんかい32
0
タイトルのとおり、イギリスの伝承における妖精の種類や物語のパターン、文学への影響などを紹介した本。昆虫のような羽が生えてふわふわ、みたいなものではなくて、小人とか、人を池に引きずり込む馬とか、もっと怪談めいた話が多い。中盤はたんたんと事例が並べられる感じでややかったるかったけど面白かった。なんといってもヘルラ王の伝説がインパクトありましたですね。2011/11/13
うづき
0
日本の妖怪と置き換えて考えてみてもほとんど間違いないんだなというのがわかった。でも、妖怪と違って妖精は原形や目的がわかりにくい感じ?それから、外見が大変怖いものが多い。2010/11/03