インドへの道

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インドへの道

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480830760
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

300
1920年頃のインド。当時、イギリスからインドにやってきた人たちは皆一様に言う。「本物のインドを見たい」と。登場人物たちの中で、最も本物のインドに触れることができたのは、その神秘体験を含めてムア夫人だっただろう。一方の男たちはどうであったか。彼らも最初は理想に燃えてインドにやって来た。しかし、混沌としたインドを前にして彼らが考えたことは「法と秩序の確立」だった。本書はそうした絶対的な論理と、それを鵺のように飲み込むインドの現実とを描いた小説なのだろう。それはまた、インド人たるアジズの葛藤でもあったのだが。2017/01/12

ケイ

128
イギリス人の立場から離れられずにしかインド人を見ていないようにも思えるが、当時の大英帝国の支配側にいた彼からすれば、これ以上現地の人の立場に入りきることは出来なかったのかもしれない。ムア夫人を通して体現したかったことは、しかし何なのかは理解しきれなかった。フォースター自身がインドについて十分に理解できていないことも一因だろう。インドと一括りにすらできないのだから。当時のインドは今のバングラデシュやパキスタンも含んでいたのだと思うと、その混沌とした様が想像できる。2017/03/26

いちろく

28
課題本。20世紀前半のイギリス植民地であるインドを舞台に、婚約者の元へ英国から来た女性アデラと婚約者の母ムアが、現地の人達と交流していく中で、大きな事件が偶発してしまう展開。征服国側と従属国側の心情や信仰する宗教が物語に大きく絡む上に、主要登場人物たちの思考が取り留めもなく変化するので、初読時は読むのが辛かった。再々読あたりで、今の価値観を出来るだけ捨て、掲載内容の時代設定や描かれた当時の背景、各信仰宗教の考え方に出来るだけ寄り添う事を意識してからは、漸くこの作品の楽しみ方の糸口を見つけられた感覚。2021/03/18

takeakisky

1
なかなか理解し難いインド人たちのエートス。わかりやすいイギリス人。フォースターがインドの多層性や自分たちとの違いを正邪、理非の視点を離れフラットに描いているところに好感を持つ。英印、信教の違い、文化、どこかに肩入れすることなく、彼我のギャップがかなり淡々と展開される。非常に抑制され理性的。過度のエキゾティシズムに陥ることなく、かつ自家撞着や度を超した不条理、行きすぎた喜怒哀楽、猥雑さのない安心して読めるきれいなインド。第三部、不器用なボートの衝突が素晴らしい。2022/10/22

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