内容説明
生命のリズムが的確に記号のシステムに移しかえられるとき、われわれは一種特有の感動を覚える。本書は、この〈移しかえ〉による仮構の働きが文化的な感動を呼び起こす構造を明かし、この視点で太宰、フロベール、シムノン、ヴィスコンティなどの作品を語る。
目次
知的感動と芸術的感動
文学的感動の図式
芸術至上主義の論理と心理―フロベールを中心に
恋愛観と家族観―北村透谷と巌本善治
社会化と教養小説
ロマン派の行動―ジョルジュ・シムノン
ノンフィクションの精神
羞恥の文学―太宰治
まなざしの呪縛―田中英光
〈純粋経験〉について―小林秀雄
異次元の遭遇―松本清張
作品点描
「イノセント」における三角形の欲望―L・ヴィスコンティ