出版社内容情報
大正末期から昭和初期、大々的な琉球芸術調査をし、琉球文化についての貴重かつ膨大な資料を残した鎌倉芳太郎。彼をめぐる人々と、沖縄文化復興のドラマを描く。
内容説明
大正末期から昭和初期、大々的な琉球芸術調査をし、琉球文化についての貴重かつ膨大な資料を残した鎌倉芳太郎。彼がテーマとしたのは、芸術、文化、歴史、民俗、宗教、言語など、幅広いことも、ほかに例をみない。81冊におよぶノート、2500点の写真資料、古文書文献、紅型型紙…稀代の記録者の仕事と、彼に琉球文化への扉を開いた人々の姿、そしてそれが現代につながるドラマを描く。
目次
第1章 彼が歩いた坂道
第2章 「沖縄学」の青春
第3章 あやうし!首里城
第4章 夢のような宴―伊東忠太の沖縄
第5章 さよなら麦門冬
第6章 島々をめぐる旅―八百キロの琉球芸術調査
第7章 なちかさや沖縄、戦場になやい
第8章 紅型がふたたび「生まれる」
第9章 けーいみそーちー(おかえりなさい)
第10章 よみがえる赤い城
著者等紹介
与那原恵[ヨナハラケイ]
1958年東京生まれ。ノンフィクション作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つけ麺部長
3
昨年の首里城火災に衝撃を受け、こちらの本を手にとってみました。かつての首里城解体未遂から首里城復元に至るまで、鎌倉先生の生涯と絡めて丁寧に書かれてあります。僕も沖縄が好きな大阪人ですが、鎌倉先生は筋金入りの沖縄ファンですね。読んでいて思ったのが記録することの大切さです。鎌倉先生の記録の数々が戦争で全てを失った沖縄の救いとなります。その時は全く意図していなくても、後世で改めて評価されるのは鎌倉先生が全ての本質を記録していたからでしょう。読むのに時間はかかりますが、最高に面白かったです。与那原さん、すごい!2020/01/05
Hiroki Nishizumi
1
鎌倉芳太郎は知らなかった。文章として少し冗長なところが多いけれども、参考になった。2023/08/08
かみい
1
凄い本にあった。歴史は時として一人に人間に、大きな運命を背負わせる。たまたま赴任した沖縄で、首里城を2回救い、琉球-日本の知識人の架け橋となり、琉球沖縄の歴史・文化を記録し、最後は紅型で人間国宝になるとは本人も予想していなかっただろう。2021/11/19
tnk
1
沖縄の近代史という埋もれがちなテーマの面白さに気付かされた本。 首里城の国宝化にいたる部分だけ再読したが、血縁や学閥がベースの人間関係が大きな役割を果たしているのが世界の狭い近代らしくて面白い。2018/12/03
のほほん堂
1
これはすごい。渾身の力作。色々な意味で泣いた。「なま、ちゃーびたん」「けーい、みそーちー」。沖縄戦はむごい。戦争はむごすぎる。2018/05/26