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内容説明
日本共産党が躍進をつづけ総選挙で38議席を獲得した1972年、一部の共産党員たちが家族との連絡を断ち、拘束状態の下で査問を受けるという事態が発生していた。査問、それは共産党内では特別の意味をもって響く言葉である。スパイ、組織破壊者など裏切り者への取り調べ…。25年目にして当事者が初めて明かす衝撃のドキュメント。
目次
第1章 査問の風景
第2章 査問する側される側
第3章 釈放後の風景
第4章 離脱の風景
第5章 昨日の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
21
スターリン主義の問題を1972年の事件から考えられる本。査問を受けた側も納得して自己批判を書いて、静かに一般党員を続けたので世間の話題とならなかった。分派を組織して有罪と中央が決めていたが、突然査問される側には思い当たるものが皆無という冤罪事件だった。市民常識を越えた査問のやり方がすごいが、不思議なのは追及される側が納得してしまう構造だ。著者は学生・青年運動の先頭に立った革命家の目標を奪われるが、最後まで革命を信じている。原因を前衛党の官僚主義と見るのが「革命家」の限界。動乱で社会が良くなるわけはない。2018/08/21
あやこん
2
夫が捨てる本に分類した中から見つけて、何だろうと思って読みだしたらそのままはまってしまった。日本共産党で分派をしようとしたと決めつけられ、身柄を拘束されて問いただされ認めさせられた事件の詳細を25年も経ってから書いたもの。心の傷の深さをうかがえる。 あるイデオロギーを掲げた組織では、左でも右でもありえることだろう。著者をはじめ、査問をされた人々はそれでも共産党に残るために、無い罪を認めている。組織の中で生きてきた人たちはそれ以外の場所で生きていくことが想像できないのである。組織は恐ろしい。2020/05/16
可兒
2
いわゆる「新日和見主義事件」で「査問」に引っかかった人が、事件をとりあげた小説。全体的に、共産党そのものの体質をえぐる傾向2009/10/22
嵐 千里
0
共産主義者でなければ到底租借できない用語が頻出し理解に苦しむ事件である。門外漢に感じ取られるのは、閉鎖的な集団・組織の怖さである。繰り返しになるが、日共は野党であり続けることに意味がある。2024/12/20