出版社内容情報
「ヤマメの魔法にかけられて、夕暮れの川をを知るようになった」。光と水を浴び、川や谷をたどる大自然の中での釣り人と魚たちとの交歓をつづった珠玉のエッセイ。
内容説明
ヤマメの魔法にかけられて、夕暮れの川を知るようになった。誰からも忘れ去られたような北国のきらめく流れ、夏の光のなかに身をさらしているゆるやかな長い流れ―フライ・フィッシングから生れた懐かしい“物語”のようなエッセイ集。
目次
1 イワナよ、目を覚ませ(あの川はどこへいった;春を待つとき ほか)
2 物語のように(北国の熱狂者;ヤマメの魔法 ほか)
3 渓流図書館(セルビアの白鷲(ロレンス・ダレル)
大きな二つの心臓の川(アーネスト・ヘミングウェイ) ほか)
4 特別な一日(その魚は見えなかった;花ひらく頃 ほか)
著者等紹介
湯川豊[ユカワユタカ]
文芸評論家、エッセイスト。1938年新潟市生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1964年、文藝春秋に入社。「文學界」編集長、同社取締役などを経て退社。その後、東海大学文学部教授、京都造形芸術大学教授を歴任。2010年『須賀敦子を読む』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
33
図書館本。北海道ではヤマメのことをヤマベと呼ぶ。東北出身の私が北海道に移り住んで一番違和感を持つのがそのことだ。本州にはヤマベという別の小魚がいるが、美しい渓流の女王ヤマメさまと同列視しているようで頭にさえくる。そこまで熱くなるのは、私がフライフィッシングで主にヤマメと戯れるからだ。この本の著者も釣り方はフライ。読んでいて共感できる部分が多かった。みずみずしい文章が私を渓流に誘ってくれた。著者と同じように私もヤマメの魔法にかけられたような気がした。2019/06/28
たびねこ
12
北国の山奥のさらに奥の隠れ谷。水面から飛び立とうとする昆虫に、魚たちが息をひそめ、そこで生じるわずかな水の波紋に心臓を高鳴らせる釣り人たちがいる。幽境・静寂の中で繰り広げられるフライ・フィッシング。ヤマメに(あるいはイワナに)魔法をかけられてしまったと信じる、要するに釣り自慢なのだが、なんてうらやましい。2014/05/06
yyrn
5
釣りは全くやらないが、若いころは山歩きが好きで、この本に登場する東北の山々には何度も足を踏み入れていたので、とても懐かしく読んだ。どの文章も渓流の雰囲気が見事に表現されていて読み進むのが楽しい。週末には仙台の奥座敷、作並温泉の少し奥にある奥新川辺りにでも行ってみようかな。あの淵にもヤマメやイワナがたくさんいるに違いない。でも、仕事の合間を見つけては全国各地に出かけて飽きることなく渓流釣りにいそしむ作者のことを家族はどう思っているのだろうか?また作者は家族に申し訳ないとか思わないのだろうか?私にはムリ!2014/06/04
明日から猫舌
1
著者の風景描写がステキすぎる2016/01/17