出版社内容情報
「私たち女性は、すべてを手に入れたいのです」二人の小さな子どもと移住した社会学者による、おもしろくてためになる、フィンランドからの現地レポート。
内容説明
二人の子どもと海を渡った社会学者に取る現地レポート。
目次
１ 未知の旅へ―ヘルシンキ到着
２ ＶＩＰ待遇―非常事態宣言下の生活と保育園
３ 畑の真ん中―保育園での教育・その１
４ 技術の問題―保育園での教育・その２
５ 母親をする―子育て支援と母性
６ 「いい学校」―小学校の入学手続き
７ チャイコフスキーと博物館―日本とフィンランドの戦争認識
８ ロシア人―移民・移住とフィンランド
著者等紹介
朴沙羅［パクサラ］
１９８４年、京都市生まれ。専攻は社会学（ナショナリズム研究）。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
110
京都生まれの在日韓国人の社会学者。ヘルシンキ大学に応募したら採用されてしまった。夫を残して、６歳のユキと２歳のクマを連れて、２０２０年２月からヘルシンキに住む。フィンランド語も話せず、知り合いも一人もいない社会に来て、でも日本とは異なる社会に馴染んでいく。小学校で「子どもの仕事は遊ぶことなのです」と言われ、友達を作ることより一緒に遊ぶ瞬間を増やすソサエティの国。公というのが「迷惑」の対象ではなく、助けを求め私が利用する対象である。日本では行政は無慈悲で企業は貪欲で人々の連帯は難しい。社会の違いを肌で知る。2022/03/16
どんぐり
86
2020年2月、新型コロナウイルスのパンデミックが起きた時期に、ヘルシンキから採用通知をもらった女性は、夫を日本に残し、6歳のユキと２歳のクマを連れてフィンランドへ移住する。かねてから「日本でも韓国でもない国に住みたい」という在日コリアンの女性の希いが、幸福度世界一、教育世界一の国につながる。いったいフィンランドってどんな国なのか、本書はこの国の保育事情に、母子支援制度の「ネウボラ」を体験した記録である。日本の行政は無慈悲で、企業は貪欲で、人々の連帯は難しい。→2022/08/06
ぶんこ
73
幸福度世界一となったフィンランドですが、幸福度は人によって違うし、国のシステムや好き嫌いでも違うから、一概にフィンランドが良くて日本は残念とはいえない。おしゃれを楽しめるショッピング街や、美味しい物をよりどりみどり選べる幸せを良しとする人と、自然に沿った服装、危険を回避出来る(服への反射)着こなしを良しとするフィンランド。人によっては日本のほうがいいというかな。著者は日本で「日本人、韓国人」と聞かれ続けるのがいやで、子どもたちにはのびのびと育ってほしかったのではと思いました。比較することではないに納得。2023/03/15
たま
70
親戚に来し方を聞き書きした『家（チベ）の歴史を書く』が面白かったのでこの本も読んだ。子ども二人を連れてヘルシンキに移住した記録で、教育が主たる話題。朴沙羅さんの突っ込みに娘さんの突っ込みも増えて楽しい。フィンランドの教育者の原則に忠実な考え方にはっとさせられる。友達を作ることより一緒に遊ぶ時間を増やすこと、思いやりや正直さ等々を性格ではなく練習次第で伸ばせるスキルと考える※。「適切な服装をすれば、天気が悪いなどということはない」というのがフィンランド人の基本の考えらしい。面白い。 2024/11/04
tetsubun1000mg
61
三谷幸喜さんの「スオミの話をしよう」を見たばかりだったので、タイトルと表紙で幼い子供二人を連れてフィンランドへ移住したドキュメントと思って選ぶ。 ２歳と５歳の子供連れということで保育園前と保育園での受け入れだったようだが、日本とは考え方が相当違うようだ。 子供の教育について、教えようとする日本と、覚えさせるのはまだ早くて遊びながら経験させようとするフィンランドの違いが面白い。 また人格、性格を把握しようとする日本と、習得中か練習が足りない状況として子供を見守るなど方向性がかなり違う。 この違いが興味深い。2024/10/16
