内容説明
新たに胸に刻む過ぎし日々。初めての自伝的エッセイ集。
目次
第1章 記憶の底から
第2章 空襲・疎開・敗戦
第3章 暮した町・通りすぎた街
第4章 出会いの風景
第5章 遠くで遇った人たち
第6章 記憶の中の姿
著者等紹介
柴田翔[シバタショウ]
1935(昭和10)年東京に生まれる。作家、ドイツ文学者。東京大学文学部独文科卒業。1964年『されどわれらが日々―』で芥川賞を受賞。1970年、小田実・開高健・高橋和巳・真継伸彦らと、筑摩書房より季刊同人誌『人間として』を創刊
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感想・レビュー
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アルピニア
26
初読みの作家さん。「自分の過去と記憶への遡行の試み(まえがきより)」として編集されたエッセイ集。小川の流れのような静かな語り口の底にうっすらと哀しみが潜んでいるような文章だと思った。幼少期の記憶をたどった文章では河合隼雄先生の子供の心理的経験に関する言葉を思い出した。何気ない出来事から、死、自他の違いなどを感じとっていく様子に私自身の経験も重なり、懐かしさを感じた。自分の主張をキッパリと述べながら、決して押し付けがましくないところが印象的。気負うことなく静かに自分の場所に屹立している方なのだろうと思った。2017/02/12