内容説明
作品世界との渾然一体、綿々と綴られた茉莉的日常。本書は、森茉莉が、小説を、長・短篇、あわせて十数篇書く間、担当の一編集者である筆者(本名、小島喜久江)にあてた書簡である。
目次
昭和33年~34年
昭和35年
昭和36年
昭和37年
昭和38年
昭和39年
昭和40年
昭和41年
昭和42年
昭和47年
昭和48年
昭和49年
昭和50年~51年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルクシ・ガイ
5
ベッド脇の本棚から額を直撃。438ページのハードカバーは痛かった。森茉莉の怒りに直撃されたようだった。
kimumaki
5
死後に出版された編集者への手紙をまとめた一冊。当時の世相なんかも分かって面白い。しかし晩年近くの著者の元々の性格に加えて加齢による頑固さ?に編者が苦しめられたくだりを読むのはちと辛かった。迷惑をかけられた当の本人なので仕方が無いけど、愚痴にしか聞こえない上に欠席裁判のようだ。全集の1巻も借りてきたが、まだ森鴎外について書かれたエッセイしか読んでません。思ったより読みやすかったけど。2006/07/31
ポポ
3
文豪森鴎外の娘で深窓の令嬢として育つが、2度の離婚、身内の裏切り、その後の没落、安アパートでの作家活動、そして孤独死…。聞けば哀れな、その実像はどんなものだったのか、興味をひかれいろいろな関連本を読んだが、本書ほど茉莉の息遣いが感じられる文献はない。茉莉の性格上の問題はさておき、とにかく、どっこい、茉莉は逞しく生きていた!という一言が一番相応しい。生きるために必死で文章を書き、経済的にしっかりと自立し、お嬢様がたいしたものだ。怒りやぼやきは許してあげたい。よくやったと、パッパも褒めてくれるだろう。2018/11/08