出版社内容情報
同じ仏教なのに、なぜ宗派によって教えが違うのか? その根源を見る。
宗派とは何か? なぜ多種多様な教えがあるのか? 世界の今を解くカギは、すべて歴史の中にある――。誰もが一度は耳にしたことがある「歴史的事件」と、誰もが疑問を抱く一つの「問い」を軸に、各国史の第一人者が過去と現在をつないで未来を見通すシリーズの第9弾! 釈迦が説いた「自己鍛錬」のための仏教は、いつ、どのようにして部派に分裂し、その後、なぜ「衆生救済」を目的とする大乗仏教に変容したのか? そして、日本仏教が世界で最も「特異な仏教」とされる理由はどこにあるのか? 科学にも通じる仏教学の碩学が自身の学説を軸に仏教界の大いなる謎に迫る。
[事件の全容]
第1章 仏教は、どのようにして部派に分裂したのか?
[歴史的・宗教的背景]
第2章 なぜ、インドで仏教が起こったのか?
[仏教世界へのインパクト]
第3章 大乗仏教は、どのようにして生まれたのか?
[後世に与えた影響]
第4章 「時代の要請」によって変容した日本仏教
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kei-zu
28
釈迦による仏教の誕生から我が国の仏教の現状までの通史を限られた紙幅ながら解説する。実家は浄土宗で、私立の仏教高校の出身ですが、知らないことばかりで勉強になりました。アーリア人の進行や上座部仏教と大乗仏教の違いは世界史で学び、鑑真の渡来と鎌倉仏教の興りは日本史で学んだが、それらがつながる知的興奮。2025/10/07
to boy
28
インドで仏教が生まれた背景、その仏教がいろんな部派に分かれながらも対立することなく同じ仏教という意識だったとのこと。やがて大乗仏教がうまれそれが中国にわたり変質してやがて日本に到達。日本でも政府の援助を受けながら変質していく様がわかりやすく記述されていて良本だと思います。中世の僧兵のように暴力を容認するのは律蔵を持たない日本仏教だけの特質。戦後の新興宗教が乱立した理由、現在旧来の仏教も含めこれからの仏教に期待しながら語り終わる著者の静かで優しい人柄がうかがえました。2025/05/04
ピオリーヌ
23
仏教の発生から現代までに至る通史と言える内容。仏教は門外漢である私にとっても大変分かりやすく学べた。仏教といえば大乗仏教に上座部仏教、ラマ教、日本の天台宗等各宗派しか知らなかったが、大乗仏教の登場のインパクトの大きさが印象的。俗世で日常生活を送りながらでも悟りに近づくことができるとした点、それまでは阿羅漢までしか到達できないとされていたが、最終的にブッダまで到達できると説いたことがそれまでの釈迦の仏教に対して大乗仏教の本質的な違いである。また日本仏教についての記載も楽しい。日本の初期仏教は国家によって2025/12/01
原玉幸子
23
私は「日本の仏教はインド哲学の理念から中国を地理的に介して根付いた」と漠に認識しているのですが、×上座部、○上座説仏教、天台宗の密教ぶり、政治と仏教の結び付き、「あるがままでよい」を唱えつつも、故に僧兵他の暴力性を認めて来た史実(翻って悲しく思うに、我々はユダヤ人のガザ侵攻を非難出来ないのか)等々、其々もう少し掘り下げて知っておくべきだった内容が並んでいて……反省頻りです。でもやはり宗教心は哲学に包含される気がするし、もっと言えば、宗教様式は哲学にとっての下部構造でしかないのでは。(◎2025年・夏)2025/06/14
鯖
19
釈迦の時代は僧4人、その後は僧が10人いないと新たに僧を生み出すことができなかった。そのため鑑真が頑張って渡航してくれたのだが、彼が同時に持ち込んだ律蔵は全く機能していない。仏教を守るためならば僧は暴力をふるってよい。結婚してよい。酒を飲んでよい。あるがままでよい。…まあ葬式仏教にも宗教屋にもなるはずである。それはそれでいいとは思うんだけど。2025/08/23




