内容説明
夜でも昼でもない、この世でもあの世でもない、この一時の饗応に集まる人たち。「祝額」大入看板画を描きながら、木馬館売店で丸煎餅やピーナッツを売りながら、ありのままの浅草の町や人々に馴染んで悠々と漂う画家の、初めての書き下ろしエッセイ。
目次
浅草へ
木馬館日記
浅草十三句
浅草オアシス
隅田川ゴールド
花やしき商店街小史
浅草月見十六景
南千住トワイライト―饗応の法則
動く浅草
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
10
80~90年代の寂れつつある浅草をブラブラあるく大入看板画描き・ミノさんのエッセイ。職場は根岸興行部・浅草木馬館(いまも健在!)。売店の仕事をしながら浅草に出入りする多様な人々との交流が描かれる。役者はもとより、木馬館の女主人・京子さんと、画家のスズキコージと、「かいば屋」に行けば種村季弘と鉢合わせる。長谷川一夫のプロマイドを買うトモエさんは、武蔵野市在住の散歩と酒が好きなギター弾き・ワタルさんの奥さん! 個性的な「無名の人々」のスケッチも◎ 浅草地下鉄地下街から始まる、食と芸とドンちゃん騒ぎの浅草日記。2015/03/02
tak_kamerad
1
著者のことは雑誌「頓智」で知ったと思う。前半の「木馬館日記」はどう計算してもバブル期に当たっているはずなんだけど微塵もそんな事を感じさせない。そして秋山祐徳太子は大好きだ。2010/07/25
暗黒大陸すがわら
0
大正から昭和にかけて華やかだった頃の浅草。そして、スカイツリー開業後の賑やかな浅草。街の移り変わりのエアポケットのようにたたずむ侘しくもあり寂れたあの時代の浅草で、「浅草の人」として生活しさ迷い続けた美濃瓢吾氏のエッセイには、うっすら埃をかぶりつつも暖かみのあった生き物、場所、空気が読むものをホンワカと包み込んでくれる。2019/12/03