出版社内容情報
息子の不登校に悩むパート主婦の「私」。洗顔料を使ったら、祖母が降霊してしまった。掃除道具と洗顔料と生家の思い出を携え、越冬する。第41回太宰治賞受賞。
【目次】
内容説明
息子の不登校に悩む四十代の「私」。美容品を扱う店でテスターを使用したその日から、祖母の霊を降ろせるようになってしまった。掃除に打ち込む「私」の傍らで、もの言わぬ祖母は何をどう感覚しているのか。重曹と洗顔料と生家の思い出を携えて、パート主婦が越冬する。第41回太宰治賞受賞作品。
著者等紹介
栗原知子[クリハラトモコ]
1975年、宮城県生まれ。明治大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
155
太宰治賞受賞作品ということで読みました。栗原 知子、初読です。本書は、越冬死霊術幻想譚の家族小説でした。太宰 治っぽくはないですが、令和の家族小説として興味深く読みました。オススメは、受賞作「フェイスウォッシュ・ネクロマンシー」です。 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480805294/ https://www.chikumashobo.co.jp/dazai/article/111314/2026/01/24
hiace9000
102
ゲーム中のバグのエピソードに始まるプロローグが伏線となり、絶妙なる誘いで作品の日常に遷移する。どこか張り詰めた日常から生まれた体験や経験を通して、自分の言葉で見たまま感じたまま、そのありのままを綴る…。栗原さんが描くそれは、徒然なる日々に降りかかったゲーム中の優しいバグであるかのよう。美肌ケアから降って湧いた災難?は、人畜無害でコミカルでに降りてくる祖母の霊。その霊はただそこにいて…。しかしやがて「私」にとって辛さに寄り添ってくれる心強い存在となっていく。短編二編はともにふわりとした余韻を残してくれる。2026/03/22
buchipanda3
90
二篇とも一人称の母親の語り。文体が好み。ふわりとした感じだがリアルな日常のやるせなさをつらつらとユーモラスに自嘲する文章が読み心地良かった。内容は実は割と重め。でも文体が彼女らの自分への自信の無さとそれに伴う不安と不満に共感を呼び込む。表題作は不登校男子、併録作は空の巣症候群の話。誰だって親になる訓練を受けるわけじゃない。自分に対してもどこか自覚のない呻吟な人生を歩んできた。それでも母親をする。そこにふと現れた日常の非日常が心の拠り所に。「一枚の葉としてできることをすればよいのだ」。どちらも読後感が良い。2026/03/17
シャコタンブルー
59
太宰治賞を読んだのは「さよならオレンジ」以来で13年ぶりになる。覚えにくいタイトル(笑)だが内容はシンプルで読みやすかった。不登校の息子、家事や仕事のストレスを掃除をすることで発散する私、霊となって浮遊する祖母。この三人を中心とする日常が淡々と描かれ、その何気ない会話や行動が絶妙な可笑しさを醸し出している。心配や不安でフワフワとして落ち着かない心情が露見するが、強風を受け流す野の花のように軽妙で柔らかな芯の強さに共感した。2026/03/01
信兵衛
20
はっきりと顛末が分かるストーリーではありませんが、その分からなさ、曖昧な雰囲気、嫌いじゃないなぁ。2026/02/14




