出版社内容情報
内容説明
ひとがなんと言おうと、わたしはそれを我慢しない。日常の小さな抵抗の物語。人生って、こんなものから成り立っている。そんな気分になる極上の小説集。
著者等紹介
森絵都[モリエト]
1968年生まれ。90年「リズム」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞。大人の小説にも活躍の幅を広げ、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞を受賞、本屋大賞二位。小説作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
484
森 絵都は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから人生相談かと思いきや、38篇のショート・ショート集でした。著者のショート・ショートは、初読です。著者の作品としては気楽に読めます。オススメは、『ハードボイルド作家に鼠は似合わない』&『破局の理由は…』&『電球を替えるのはあなた』の3本です。2020/01/12
さてさて
422
『浩美は日曜日の午後に必ず念入りな掃除をする』、しかし『唯一、夫である晋一の書斎を例外として』というなんだか訳ありの夫婦の絶妙な関係性を描いた〈2LDKの攻防〉など、38編もの短編が盛り沢山に集められたこの作品。量的にはどれもこれも数ページという文章量にもかかわらず、それぞれに起承転結がサクッと巧みに構され、最後にオチが見事に入ってまとめる上手さを見せるこの作品。”森絵都さん節”という感じで、本来笑う箇所で大真面目に畳み掛けていく展開が満足感たっぷりな読書を約束してくれる森絵都さんならではの短編集でした。2021/08/01
ウッディ
338
当たり前だと我慢しているけど、納得がいかない・そんな心の叫びを形にした森絵都さんの38編のショートショート。美容院などでの世間話が嫌など、その気持ち、わかるわかるのオンパレード。Windows10の話、「テン」の正体がわかり大納得でした。パンダやライオンの人気に嫉妬する象の話も、関西弁の語り口がおかしく、意地でもトイレの電球を替えない夫婦の話など、ニヤニヤし続ける読書でした。“piece of resistance(抵抗のかけら)”という副題のように、譲れないことには抵抗を続けていきたいと思った。2020/05/19
こーた
283
ショートショート38篇。あいまに読めてクスッと笑う。あるいはモヤッとする。何と表現したらいいかわからない日常のモヤモヤ。それらはうまくことばにすることができない。だからひとにも相談できない。そんな「できない相談」に、ひとつひとつ物語で応えていく。棘をユーモアでコーティングし、世界の課題を浮き彫りにする。夫婦の駆け引きから小学生の作文、果ては片言の日本語まで、絶妙なところで崩壊しない文体の書き分けが見事で、著者の技巧が冴えわたる。だいじな事柄はいつだって些事にこそ宿る。ままならない日常への抵抗がはじまる。2021/05/04
いつでも母さん
271
森さん凄い!38編のショートショート。『日常の小さな抵抗の物語』とある。よく視てるなぁ。そうそう、そうなのよ!って共感するのも多々あった。目から鱗もあった。モデルは誰?(汗)どこからでも読める。いつでも読める。タイトルも好い。私は楽しく読みました。2020/02/04