内容説明
39歳。子なし。バツイチ。うんと年下の恋人あり。で…母が恋敵!第21回太宰治賞受賞作。
著者等紹介
川本晶子[カワモトアキコ]
1962年生まれ、香川県出身。香川県立高松高等学校卒業後、上京して演劇活動に携わる。三四歳でフリーライターに。女性アーティストへのインタビューを中心に、風俗取材、タレント本のゴースト、スポーツ新聞の官能小説連載など、書かせてもらえるものはなんでも書く。『刺繍』で第二一回太宰治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
77
ボケて行く母を見つめる父(夫)、娘、年の離れた娘の恋人。登場人物はこの4人と娘の浮気相手の5人。母の様子がおかしいとわかりはじめてから、その母親が亡くなるまでの家族の様子が静かすぎず、賑やかすぎず、程よく語られる。夫も娘も自分の年も分からなくなったそんな時に娘の恋人に恋をする。彼を「敏雄さん」と呼び、彼の言うことには耳を傾ける。彼は父親に頼まれて同居するが、娘は若い彼を縛り付けたくなくて心にもない言葉を投げる。それでも彼は母親に寄り添う。母親が肺炎になり先が見え始めたとき娘は刺繍を始める。少し泣けた。2021/05/20
愛 飢男
28
登場人物は40手前のバツイチ女性、父と痴呆気味の母、それと20歳のボーイフレンド。中盤、そのボーイフレンドが家に転がりこんでからの展開が面白い。 アラフォーの揺れる女心をやや抑えめ気味のタッチで描いたキラッと光る作品。2016/01/24
こちゃら。
20
主人公のエリが、自分の半分の年齢の恋人から、「拗ねてるんじゃないよ!」 と叱られる場面があるのですが・・そうか「拗ねる」か、拗ねる拗ねると、一日中ずっと「拗ねる」という言葉が頭の中でころころしていました。欲しいものを欲しいと言えません。 欲しいと言って手に入らなかったらいやだからです。でも欲しい。欲しい 察して差し出して欲しい。手の届く所に置いて欲しい。でも、そんな以心伝心のミラクルは起きません。 2014/03/15
犬こ
17
手芸が得意だった母親が痴呆になり、父親と恋人で母親の面倒をみるエリ。そんな中、思い出したかのように、時おり、編み物や刺繍をする母親。手芸が苦手なエリは昔の母親の思い出を振り返りながら…。2015/10/24
れんこ
15
単純に刺繍の本と思っていたので、読み始めて「あれ?」と思った。親が認知症っぽくて気になるけど、まだ大丈夫そうだし、見たくないしという距離の取り方はあるあるだろうなぁ。2020/12/19