内容説明
「わたし」という謎の中心に生きて在る感触へむけて、深く降りてゆく15の短篇。
著者等紹介
小池昌代[コイケマサヨ]
1959年東京深川に生まれる。津田塾大学国際関係学科卒。詩人。詩集に『永遠に来ないバス』(97、現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(99、高見順賞)など。エッセイ集に『屋上への誘惑』(01、講談社エッセイ賞)がある
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感想・レビュー
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巨峰
54
かなり良かった。「光」を感じる生活。感じるというのは能力でもある。能力であるからには努力を続けることによって感じること、そして感じたことを表現する能力もみがくことができるのでしょう。「感じる」ための能力を磨き続けてきた詩人によるこの短編集は結構刺激がありました。どこにもかしこにも「こいけさん」がいるような感じが面白かったです。小池さんの詩集を手に入れたくなりました―。2015/10/13
ume-2
8
ある高校生がセンター試験に「石を愛でる人」が取り上げられて、試験後に他の作品も読みたいと言った。彼女を魅了したのは何なのか。読んでみると小説というより随筆風なのですが、そういえば作者の小池さんは詩人でもありました。作中出てくる出てくる詩人ならではの言葉使い、思いもよらない表現。それらに出会う度に感嘆しながらほくそ笑みます。その感覚・感情を伝える為に最適の言葉を、先入観に囚われずに自由に選択している感があります。どれもこれも微笑みながら読めますが、特に「クラスメイト」と「ミミとわたし」が異性の私には面白い。2015/03/07
きゅー
7
ハッとさせられたり、ホッとさせられたりした一冊。本作は短篇集だが、どの話でも一人称は「わたし」で、他の人からは「小池さん」と呼ばれている。私小説集と言えるだろうが、当然のことながらどこか真実をはぐらかしているようでありその温度差が心地良い。起承転結がはっきりしているわけではない一篇一篇を際だたせているのは、ストーリーや、登場人物の個性ではなく、彼らと「小池」さんの関係性に感じた。激しく情熱的なことはめったに起こり得ないこの世界で、それでも何を私たちは他の人々に求めているのか。そんな問いを聞いた気がした。2013/02/20
yoko**
5
独特な語り。けして華やかではないけどなぜか引き込まれる。私は彼女の描く文章そして世界が好きだ。2012/01/17
タリコ
4
観察と思索と描写。日常の切り取り加減が好きな感じ。「祭りの日」で描かれる<カミサマの目>の感覚に唸り、「クラスメイト」では自分自身の<心の奥がいきなり、かっとした。>2010/11/02