内容説明
宮沢賢治さんのウタをあつめました。『双子の星』『十力の金剛石』『風の又三郎』等々の星のようにきらめく賢治童話の作中歌たちがはじめて勢ぞろい。おーなり由子さんの絵が静かに響きあいます。
目次
あまの川
星めぐりの歌
あまのがわの、にしのきしを
みなみのそらの
お日さまの、お通りみちを
ベゴ黒助、ベゴ黒助
お空、お空。お空のちちは
赤い手長の蜘蛛
ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン
ザッ、ザ、ザ、ザザァザ〔ほか〕
著者等紹介
天沢退二郎[アマザワタイジロウ]
1936年東京生まれ。仏文学者、詩人、童話作家、『新校本宮沢賢治全集』編纂委員
おーなり由子[オオナリユウコ]
やわらかな絵と文による「絵の本」を作っている。主な著書に『幸福な質問』『モモ』(新潮社)『てのひら童話』1~3集『花のうた』『空のうた』(角川書店)『天使のみつけかた』『きれいな色とことば』(大和書房)などがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
64
宮沢賢治の童話の作中歌を集めた童謡集。とても可愛い本なのでやっぱり欲しくて購入。再読だけど、初読の時と同じで特に好きなのは、「おつきさんおつきさん まんまるまるるるん」と「ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン」の音のひびき。とにかく可愛い本なの。2020/06/09
mii22.
54
図書館の【宮沢賢治特集】で見つけて。かわいい!ほしい!宮沢賢治の童話の作中歌を集めた童謡集。大きさ、装丁、挿し絵すべてが可愛らしい。特に気に入ったのは、声に出して読むととてもたのしい音。「ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン」「おつきさんおつきさん まんまるまるるるん」「キックキックトントン、キックキック、トントン」...そして、「星めぐりの歌」を読んで銀河鉄道の夜に思いを馳せ、今夜星空をきっと見上げるだろう。2016/10/21
まきこ.M
37
透き通るような天の川から次々に流れる夜空の星屑の一つ一つに生命が宿るように、宮沢さんの瑞々しいユーモア溢れる言葉たちもキラキラと輝きながら私の心にほんわり灯る。おーなりさんの水彩画が加わると、さらに柔らかさと、優しさをが増して、想像力の翼にのってどこまでも入りこめていけるのです。この世界の花も雪も木も動物も、毎日少しずつ表情を変えて、匂いや音もひっくるめた全部は生きている。声に出すとリズムが楽しくて、声の響きと一緒にくるくる踊ってしまいそう。2015/03/08
らん
23
七夕の夜に。思わず踊り出したくなるような、軽快でリズミカルでかわいらしいことばに頬がゆるむ。言葉の雨がはじけて光の粒が舞っているような美しい光景が浮かび、おーなり由子さんが描いた絵がぴったりで嬉しくなる。あまのがわ、サンタ・マグノリア、まんまるなおつきさま、つめくさの花が咲くひろば。風や花のかおりが漂い夏の夜の音に耳を澄ませ、夜明けの美しさにふわりと包まれる。どこまでも優しい絵に少し泣きそうになりながら、夏の夜が訪れる事がとても嬉しなって笑みが溢れた。さびしい夜を抱きしめたくなる時にまた読みたいです。2023/07/07
七月せら
19
時々浸りたくなる宮沢賢治の世界。イーハトーブの不思議な物語が好きですが、童謡集というのもいいなあと思いました。人ではない仲間達の唄う楽しい歌に、おーなり由子さんのほんわりした絵も合わさって、幻燈付きのオルゴールを次々にぽんぽんと開けているような気分。口に出しても楽しい。宮沢賢治は"どっどどどどうど"のリズムが好きなのかな。2017/01/27