内容説明
碩学の思考を跡づけるために、初刊本を底本として刊行順に編纂、改版等で付加された文章を網羅する、はじめての画期的全集。清く豊かな話し言葉を希求した『方言覚書』、旅を愛する人に伝説の意義を説く『木思石語』、固有信仰を語る講義『日本の祭』、人類の宝―昔話論の集成『昔話覚書』。
目次
方言覚書
木思石語
日本の祭
昔話覚書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
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出版事情が厳しくなる中、この頃の柳田は恵まれていたらしく、一年に何冊もの本を出版している。さすがこの辺にくると、古い文章を寄せ集めたものが多くなる。言いたいことが言えない時代でもあったのだろうが、時局への発言も少ない。既に確立された民俗学の枠内に閉じこもり、思想的な発展は余り見られない。本人はもう半分隠居のつもりでいたのだと思う。これが敗戦により再びその老体を鞭打って民俗学の枠を超えた仕事を始めることになるわけだから、敗戦も悪いことばかりではない。学生に語りかけた『日本の祭』には既にその萌芽が見られる。2017/12/23