出版社内容情報
落語とは何かを考えつつ、その聴きかた愉しみかたを探る落語論。「笑う」ことの意味、落語と歴史の関係、登場人物の無名性などから、落語という芸の特異性に迫る!
内容説明
落語とは何かを考えつつ、その聴き方楽しみ方を探る落語論。人は落語をきいてなぜ笑うのか、落語における時間の流れ方、落語はドラマを排除すること、登場人物がみな無名であること、などから、落語という芸の特異性に迫る。
目次
第1章 落語の視点
第2章 二人目の人
第3章 名のある人と名のない人
第4章 落語の中に流れる時間
第5章 落語家のしごと
第6章 落語の背景
第7章 人情ばなし
第8章 現代の落語
終章 「景清」と「心眼」
著者等紹介
松本尚久[マツモトナオヒサ]
1971年、東京都台東区生まれ。放送作家。落語会のプロデュース・構成なども。明星大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinupon
82
今までのホントはチョット違った切り口で落語という藝を語っています。初心者にはチョット難しいかも知れませんね。2016/06/24
じんべえざめ
8
○【書評】いやいやいや、難しいよ。子ども向けじゃないよね。ちくま新書で出版しなはれ。落語を本気で追いかけ始めたおれで、やっと理解できるレベル。本格的な落語論です。2020/08/29
takizawa
8
落語入門。「落語とは何か」「落語家は落語を通じて何をしているのか」といった抽象的な話を他の伝統芸能や現在の大衆文化との比較で分かりやすく解説した本。落語にはギャグ漫画的な現在性(終わりなき日常)はあるがドラマチックな漫画が持っている歴史性からは切り離されている。ただし,落語にもシリアスな人情ばなしが存在する(テレビのドラえもん=滑稽ばなし,大長編ドラえもん=人情ばなし)。現代落語が急速に古典化しているという指摘も大変興味深かった(他方,漫才は徹底的に時代に寄り添って変化している)。2011/07/15
銀雪
8
落語に限らず、「物語論」としてとても興味深く読めた。作者と演者の距離の取り方などについて言及している章では、小説を書いたり、演劇や脚本に興味を持ったりしている私にとってはとても新鮮な刺激を受けることができた。笑いや伝統芸能などについての考察も示唆に富む。また、上方落語と江戸落語の違いに繋がる考え方は、「関西では隣との付き合いを大切にし、東京では個人での生活を大切にする」「関西ではmixi、東京ではTwitter」のような考え方と地続きのもののような気がして、ちょっと感動した。2011/04/07
メイロング
8
中級~上級者向けといった内容。落語以外の芸能への視点のおかげで、落語というテーマが浮き彫りになっていて、実に効果的。小説や映画好きには、頷けるポイントがいくつもありました。でも落語初心者は手を出さない方が賢明よね。2011/02/12