内容説明
恋の悩みから宇宙摂理の大問題まで、人生に悩みの種は尽きない。一つ一つ考えていたらキリがない。問題は中身より、仕組みを考えたほうがカンタン。
目次
第1章 問題との出会い(さまざまな問題;問題は向こうからやってくる;問題とは不確定状態である;問題のゆるやかな定義)
第2章 問題との取り組み(問題から無問題へ;「解答を与える」という方法;「解消する」という方法;問題は必ず無問題にできるのか;なぜやっかいな問題があるのか)
第3章 問題をつくる(問題解消は新たな問題の出発点;問題をつくりかえる;問題にはキリがない;自由であるために)
著者等紹介
山本貴光[ヤマモトタカミツ]
1971年1月25日生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。コーエーでのゲーム制作を経て、フリーランス。物書き。トランスクリプター。ゲーム・デザイン講師。97年に吉川浩満との共同主催によるwebサイト「哲学の劇場」を開設。哲学から科学、芸術まで幅広い分野の書評や作家情報を掲載して話題を集めている
吉川浩満[ヨシカワヒロミツ]
1972年3月14日生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。97年に山本貴光との共同主催によるwebサイト「哲学の劇場」を開設。哲学から科学、芸術まで幅広い分野の書評や作家情報を掲載して話題を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
55
ずっと前から考えていて、整理がついたのが、問題と課題。その問題にフォーカスした1冊。まず、言語化していただいてスッキリしたのが、「解答」と「解消」と「つくりかえ」。いわゆる腑に落ちたというやつ。そして、さらに踏み込んで、問題を作るに踏み出すという姿勢。以前に読んだ本のフレーズを想い出した「いい問いはいい答えにつながる」。そのとおりだ。2023/02/01
さえきかずひこ
6
わたしたちは日々様々な問題に遭遇して悩むが、その問題の中で解決の困難なものは、問題そのものが成立する条件を問い直し、新たな問題として自由に作り変えてゆくことで、前に進んでゆけるのではないかと問いかける一冊。込み入った問題に思索をめぐらせて捉え直すことにより、選択の余地を広げようと読者を促している。2018/04/08
毒ドーナツを食べたいな
6
「ひとが抱える様々な『問題』に果たして共通項はあるのか」を出発点にして「『問題』にどう取り組むか」へ着地する◆『問題』とは何かが分かれば反対に『問題がない状態』が分かる◆『問題』に(所与のルールを受け入れて)真正面から取り組むほかに、時間をズラす、高次の問題をターゲットにする、細かくする、あるいは低く設定し直すなど2015/06/22
常磐条(ときわとおる)
4
問題とは向こうからやってきて人に不確定な状態を生じさせ、何らかの対応を迫る状況のこと。そこで問題を「解答」するか「解消」することで問題を解決する必要がある。解答は問題の強いる状況で答えを出すことだが、解消は問題の強いる状況そのものを疑ってかかる。すると一見解答不可能な問題も、解答可能な新しい問題に転換される。実はこの問題変換技術が物語のどんでん返しやスポーツのファンタジスタや数学のエレガントな解法の発見につながっている。さらに、あたりまえの中に問題を見つけ出す力がとても重要であるということ。2013/08/25
ぶぶぅ
3
山本貴光さんの本の読み方に憧れている。何かの雑誌で、その読み方を知って、ただただ畏怖を覚えた。そんな山本さんの本の中でも、かなり読みやすい部類に入るのではないだろうか。印象的だったのは、やはり本を読むことに関する部分。①書き手の問題意識がどこにあるのかを知り、それを理解すること。②同じ小説を繰返し読むとき、読者はたえず問題を新たに創造しているのだ。特に②は、スローリーディングを掲げる自分にとって、かなり腹落ちするものだった。この本もじっくり再読していきたい。2020/07/14