出版社内容情報
意地悪、ルールを破るなど、いけないことには絶妙に心躍る瞬間がある。なぜそういった気持ちになってしまうのか。私たちのダメな部分から「悪と善」を考える。
内容説明
ちょっといけないことをしたとき、ドキドキして心が躍る。意地悪、自己中、復讐にも絶妙な快楽がつきまとう。なぜ、私たちはそんな気持ちになってしまうのか?私たちのよくない部分から、悪と善を考える。
目次
第1章 自己チューなのはなぜ楽しいのか
第2章 意地悪はなぜ楽しいのか
第3章 復讐することはなぜ楽しいのか
第4章 自傷行為はなぜ楽しいのか
第5章 空気を読まないのはなぜ楽しいのか
第6章 反逆するのはなぜ楽しいのか
著者等紹介
戸谷洋志[トヤヒロシ]
1988年東京都生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は哲学・倫理学。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。2015年「原子力をめぐる哲学―ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
111
重くて大切なことを、分かりやすい言葉で語る戸谷さんに注目している。本書は倫理学。エゴイズム、意地悪、嫉妬、復讐、空気を読まない、反逆というテーマを、具体例を用いて紹介し、「当たり前」を問い、「よい」と「悪い」の境界を考える。それを通じて、ホッブスの「リヴァイアサン」、ショペンハウエルの「悪意」、カントの「ルール」、ハイデガーの「本来性」、アーレントの「複数性」などの哲学的な重要概念に導く構成は見事。漱石の「こころ」や「カラマーゾフの兄弟」などの文芸作品の引用も魅力的。プリマー新書に相応しいいい本だと思う。2024/07/26
☆よいこ
76
分類150。善と悪について。哲学についての本なので答えが書いてあるわけではない▽[1.自己チューはなぜ楽しいのか]それ自体は悪ではない[2.意地悪はなぜ楽しいのか]悪意、嫉妬、意地悪[3.復讐することはなぜ楽しいのか]苦痛と快楽の両立[4.自傷行為はなぜ楽しいのか]よい自傷と悪い自傷[5.空気を読まないのはなぜ楽しいのか][6.反逆するのはなぜ楽しいのか]反逆の暴力性を知っておくべき▽読みやすいが、高校生向きかも。悪いことをして後悔しているなら「もう二度としない」こと。前を向いていきましょう。2024.62024/11/26
れっつ
39
目を引くタイトルに知りたい欲を刺激される。このような本を待っていた。文学博士かつ哲学・倫理学者でもある著者が、身近な自分の体験や内外文学の例、そして名だたる哲学者たちの考え方を紹介しながら、湧き上がる疑問に従い、順を追ってフレンドリーに分かりやすく解説していく本書。世の中の、良くないと思われる数々のことを分析し、何故そうなのか、果たしてそれは本当か、と根本を問い直すことは今の時代必要不可欠。世間や同調圧力に加担せず、唯一無二の自分自身として生きるために知るべき内容が満載。大人も中高生も一読の価値ある1冊!2024/08/17
ひさしぶり
18
現在において認められている正しい/間違っているとい判断の基準(正義)の変更は必ず既存の(正義)への異議申し立て(反逆)の様相を呈す。正義が移り変わるとき、既存の社会は不安定となる。万能ではないが暴走を防ぐ(約束)は社会の正義の変更を実現するため欠かすことができない条件----トランプ大統領がしようとしてること、財務省デモやオールドメディアの問題、韓国の反日が見直されようとしてる今って既存の正義が変わろうとしてるって感じる。 2025/03/10
まゆまゆ
12
悪いとわかっていることをあえてすることに楽しさを感じてしまう理由を、倫理学で考えていく内容。なぜそのことが悪い、と評価されているのかを問い直すと、違った見え方や考え方に行き着くことがある。ルールによって作られる同調圧力の空気を破るほうが生きるうえでラクになるなら、破ってしまおう。これを反逆という。2024/08/28