出版社内容情報
信仰の対象としての「神さま」と哲学の中で問題になってきた「神」はどう違うのか。「神」はいるの?「神」についてモヤモヤしている人におくる宗教哲学入門。
内容説明
信仰の対象としての「神さま」と哲学の中で問題になってきた「神」はどう違うのか。絶対的に無限な「神」が存在するとはどういうことか。「神」についてモヤモヤしている人におくる宗教哲学入門。
目次
第1章 神さまはいるか
第2章 神はいるか
第3章 神と存在
第4章 死後の生
第5章 魂と私
第6章 神と世界
第7章 信じるということ
著者等紹介
上枝美典[ウエエダヨシノリ]
1961年愛媛県生まれ。1990年京都大学大学院文学研究科単位取得退学。1996年フォーダム大学大学院哲学研究科退学。福岡大学人文学部を経て、慶應義塾大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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venturingbeyond
30
信仰の対象としての「神さま」と哲学的論証の対象としての「神」を峻別し、後者をめぐる西洋古代・中世哲学史の論点を「存在」概念を中核に据えて考察する。ここでの「神」は、ヘブライズムにおける絶対神・唯一神であり、扱われているテーマもギリシャ以来の存在論・認識論の基底的な問題で、プリマー新書の読者層を意識した平易な叙述であっても、ある程度の前提知識が要求される硬質な一冊。個人的には、アンセルムスやアクィナス、スピノザなどの簡潔明瞭な叙述は、とてもリーダブルで参考になった。2023/09/16
禿童子
27
西洋哲学の立場からの「神」と信仰の対象としての「神さま」について論じた本。ちくまプリマー新書という青少年からYA向けの本なので間口は広くハードルの低い表現を意識しているが、読んだ結論としては難しい書き方になっている。「~である」と「~がある」の違いを掘り下げて、無限の存在である神を引き出そうという論法は読んでいてわからん。クオリアを持ち出すと一般市民には話の筋がごちゃごちゃになる。認識論と存在論をこき混ぜた講義を本にまとめた様子。最終的に神への信仰を説く人の人柄を信用できるかどうかという常識論に落ち着く?2024/05/14
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
22
読み進めるのがしんどかったら(しんどかった)第7章を読んでください。視覚や聴覚と同じように神覚ってあっていいやん、ってとこで目が覚めました(寝とったんかい)。しかしですね、全てのちゃぶ台返しみたいなことが最後の最後で述べられていて。何が、ではなくて、誰からか。あらゆる全てはこれにつきるのです。2023/08/04
さとうしん
15
表題の信仰上の「神さま」と哲学上の「神」との違いからはじまって、存在の哲学の話、そして最後に信仰の話に帰着していく。話が途中でわからなくなっても、最後の第七章でもう一度仕切り直しをしてくれる作りになっている。本書を読むことで、プラトンの『パイドン』やスピノザの『エチカ』、そして巻末の読書案内で紹介されている『意識と本質』が読みたくなってくるから、哲学の入門書としては成功しているのだろう。2023/06/13
テツ
11
信仰の対象としての「神さま」と哲学的に取り扱われる「神」との違い。「である」と「がある」の違い。いわゆる万物の創造主としての唯一神も万物から立ち昇る霊性も現代日本に生きるぼくたちにはなかなか感じ取ることはできないけれど、古典的な神の存在証明的な思考の積み重ねはそのまま自分自身の存在証明に繋がっていく。いないものをベースにした過去の神学や哲学だって馬鹿にしたものじゃない。そこを見つめ掘り下げる過程は自らに直接繋がっている。2023/09/20