出版社内容情報
富士山は約300年噴火していないが、実はとても活発な火山だ。次の噴火はいつ?起きたらどうなる?最新の調査から噴火の規模、被害、そして防災までを語る。
内容説明
富士山はこの三百年ほど噴火していないが、それは仮の姿。実はとても活発な火山だ。次に噴火するとしたらいつだろう?噴火に至るマグマの動きを解説し、将来の噴火時期を予測する方法、降灰や溶岩流シミュレーションの受け止め方を考える。
目次
第1章 富士山は特別な火山なのか?
第2章 富士山は他の火山とどういう関係があるのか?
第3章 富士山は活発といえるのか?
第4章 富士山の次の噴火はいつ起きるのか
第5章 富士山の溶岩はどこまで流れるか
第6章 富士山の火山灰はどのくらい危険なのか
著者等紹介
萬年一剛[マンネンカズタカ]
1971年横浜市生まれ。神奈川県立横浜緑ケ丘高校卒業までは天文少年だったが、数学の才能無く天文学は断念。地質学を専攻した筑波大学で伊豆大島や浅間山の野外実習を経験し火山の魅力にはまり、火山研究の道に。九州大学博士(理学)。98年より神奈川県温泉地学研究所所属。南フロリダ大学客員研究員(2010‐11)、日本火山学会理事(2014‐20)。15年に箱根火山の噴火を体験し、防災対応や噴火メカニズムの研究に従事した。専門は火山地質、降灰シミュレーションだが、本当は星空の方が好き(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
112
富士山が最後に噴火したのは1707年12月16日午前10時。いわゆる宝永噴火である。江戸にも15日間で4cmの火山灰が積もった。意外にも降灰が直接の死因という記録はない。しかし現代では交通、水の確保が困難となり、数百万単位の人に生命の危険が及ぶと予測される。政府は2021年3月改訂版の富士山ハザードマップを公表した。それによると溶岩流は小田原市の北部まで来るというシミュレーション結果であった。溶岩流に埋まった町が再生した記録は明治以降ない。では噴火はいつ起こるのか?富士山の成り立ちも含めて読みやすい本。2022/11/20
まーくん
87
プリマー新書は対象が青少年の入門書と思われるが、本書は専門家以外の一般の大人が読むのにも適当。内容充実。表現も大変わかり易い。サービス精神旺盛で時々、オヤジ・ギャグのようなものも。これは微妙。最初に地球科学の現象を考えるに当たって基礎となるプレート・テクトニクスについて、特に火山との関係について要領よく解説してくれている。その上で富士山に限らず一般の火山のしくみや分布が何故今のようになっているのか説明があるので納得がいく。 結論は残念ながら今の火山学のレベルでは次はいつ噴火するかについてはわからない。⇒2024/02/23
きみたけ
58
語り口調が独特で面白かった。著者は火山地質・降水シミュレーションが専門で日本火山学会理事の萬年一剛氏。富士山のこと、宝永噴火のことを学び、こんな噴火が現代日本で発生したら大変なことになると恐怖を感じたのがきっかけで、著者の中で生じた疑問と彼なりの答えがまとめられた一冊。やはり気になるのは噴火した際の被害予測で、航空・鉄道・道路は寸断、噴石からいかに逃れるか、水の確保など課題が多い印象。噴火のメカニズムをししおどしに例え、不規則な動きを「5歳児とネコに放出を委ねたししおどし」で説明していて面白かったです。2023/04/05
ホークス
34
2022年刊。入門者向け新書レーベルのおかげか、富士山の噴火について一般に近い感覚で書いてある。少しクセはあるけど間違いなく分かりやすい。AIを使っても、災害の最大最小の見当がつくだけで、噴火レベルの詳細は予測できない。どこまで備えるかは人が結論を出すしかない。広範囲に影響するのはやはり火山灰。交通機関は火山灰にとても弱く、物流が止まると食料も直ちに不足する。飲料水も浄水が止まるためピンチになる。集中して住んでいるリスクは相当に大きい。結局のところ、「何をどこまで」は一人一人の認識が左右していくと思う。2024/02/12
Ezo Takachin
10
火山学について学ぶことができる書。江戸時代の噴火以来静寂を守り続ける富士山。しかし必ず噴火する可能性はある。現在の綺麗な姿の富士山の形が変わるかもしれない。また、現代社会では火山灰による影響が一番心配される。情報、通信、交通インフラに大打撃を与えるのは間違いない。地元有珠山は定期的に噴火し、噴火前の兆候もしっかり観測できるから2000年の噴火では、事前に住民避難対応がしっかりできた。富士山はではどうなのか?2023/02/21