出版社内容情報
「道徳は教えられるか」「学校の勉強は仕事に役立つか」「教育は格差を解消できるか」「AI社会で教育は変わるか」――広い視点と多様な角度からとらえなおす。
内容説明
教育はしばしば失敗するし、学校は本質的に退屈である。にもかかわらず、学校や教育は世界を広げてくれる―。教育の目的から、学校の役割、道徳教育やAI社会まで、広い視野と多様な角度からとらえなおす。
目次
第1章 教育と社会化
第2章 学校の目的と機能
第3章 知識と経験
第4章 善人の道徳と善い世界の道徳
第5章 平等と卓越
第6章 人間とAI
第7章 身の回りの世界とグローバルな世界
著者等紹介
広田照幸[ヒロタテルユキ]
1959年生まれ。現在、日本大学文理学部教育学科教授。研究領域は、近現代の教育を広く社会科学的な視点から考察する教育社会学。1997年、『陸軍将校の教育社会史』(ちくま学芸文庫)で第19回サントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
70
著者は、近現代の教育を社会学的な視点から考察する教育社会学を得意とする、日本大学文理学部教育学科教授の広田照幸先生。教育の目的から学校の役割、道徳教育やAI社会まで、幅広い視野と多様な角度から捉え直した一冊。特に「第6章人間とAI」では、AIによる社会変化が子どもたちへあたえる影響、教育方法・内容を変える技術革新、未来に向けた学校教育の役割など、興味深い内容でした。2024/06/07
みねね
47
教育の現場に出ていると、学生や非常勤講師時代に学んでいた「教職教養」はまるで無力で、◯年前の俺はなんでこんなもんをありがたがって勉強していたんだ、なんて思うこともしばしばあった。が、包括的に見ると、やはり基本的なルールや行動原理は学んだことの中にあると気づく。一歩、二歩下がって教育を見る余裕があるとき、学んだことは大いに役に立つ。数学とか数学科教育についても程度は違えど似たものを感じるから、これは共通なのだろう。余裕のないときにきちんと物事を判断できるよう、教育社会学の諸々を少しずつ学んでいきたい。2023/09/05
venturingbeyond
44
タイトル通り、「退屈」である理由を示し、それが教育という営為の「大切」さと分かちがたく結びついている理路を示す。教育は、俗世から隔離された社会的真空状態で行われる訳ではない。教育の対象である生徒・児童の有する多様な社会的背景ゆえに、職業的教育者からの働きかけが意図通りに定着する訳もなく、シニカルにその機能不全や無効性を主張する言説も枚挙に暇がない。しかし、ウェーバーとは異なる抑えたトーンで“denn noch”と著者は教育の価値を語る。教員志望の生徒に読ませておきたい一冊。2022/06/07
生ハム
28
「多くの子供達に「勉強がつまらない」というふうに映るのは、学校の知の本質です。つまらないと思った人は多いと思いますが、学校はそういうものです。身近な日常経験とは切り離されたものを教わっているので仕方ありません。」筆者のこの一文に感銘を受けました。なぜ、少しでも学びに前向きな子どもたちを育てたいのか、なぜ、授業の導入を一生懸命考えるのか、なぜ・・・。「退屈」と「大切」はそれぞれ独立していたり対立していたりするのではなく、もしかして同一なもの、裏表の関係に近いのかな、と思えるようになりました。2022/08/04
りょうみや
28
教育哲学的な深い話題が砕けたエッセイ風に分かりやすく書かれている。いかにもちくまプリマ―新書らしい。いわゆる「正解のない問い」が多いが著者なりの考えが示されている。高校生くらいでこの本が読めたら学校でのメタ学習が進むと思う。2022/05/31
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