出版社内容情報
生物の最大の特徴はなんだろうか?地球上のあらゆる生物は様々な困難(環境変化や地球変動)に負けず子孫を残そうとしている。生き続けることこそが生物!?
内容説明
自分を知るには、まず生きもののことを理解しておく必要がある。生きものの形や時間にはどのような特徴があるのだろう?何のために生きているのだろう?生きものの本質を明らかにする冒険的な試み。
目次
第1章 生物という呼び名
第2章 生物は続くもの
第3章 種と生物の分類
第4章 生物学には「なぜ?」がある
第5章 生物の形
第6章 円柱形の進化
第7章 動物の時間
第8章 時間とエネルギー
第9章 生物のデザインからみた現代文明
著者等紹介
本川達雄[モトカワタツオ]
1948年仙台生まれ。東京大学理学部生物学科卒業。東京大学助手、琉球大学助教授、デューク大学客員助教授を経て、1991年から2014年まで東京工業大学大学院生命理工学研究科教授。東京工業大学名誉教授。理学博士。専攻は動物生理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
97
著者は『ゾウの時間ネズミの時間』の本川先生。プリマー新書、高校生向けという建前だが侮れない。分子生物学というミクロの研究が注目されがちだが、これは古典的ともいえるマクロの生物学の話。生き物の形は円柱形が基本だとか、生物の有り様の必然性について語っているが、白眉はやはり生物の「時間」。どの生き物も心臓の拍動は15億回でお終い。動物の時間は体重の1/4乗に比例。ネズミはゾウが70年かけて成すことを3年で、一生を駆け抜ける炎のような生き方(どちらも一生に30億ジュール分の仕事を)。生物により時間の質が違う。2020/07/06
イシカミハサミ
11
「本川さんの教え」の 集大成の1冊。 生物学、ひいてはいきもの、 というものを いろいろな方面から突き詰めていく。 本川さんの著作のなかでは、 引用や言い回しなど、 むずかしめなものが多いかも。 その分内容はとても奥深いものになっている。2023/06/23
izw
9
生物に関する見方が変わる本だった。生物の源が発生してから何十億年と遺伝子がコピーされ変異し「進化」してきて現在の多様な生物の生態がある。種とは何か、我々が生きている環境が如何に特殊な環境か、人間が見ている色彩豊かな世界が如何に特殊か、生物の形は円柱形という見方、生物の大きさによって時間の流れが異なるという説、どれをとっても、目を見開かれる思いだった。専門分野に進む前の子どもに向けた本・メッセージだと著者はいうが、私のような老人たちにも味わってもらいたい著書である。2019/08/26
乱読家 護る会支持!
8
「生きつづけるという目的を、あたかも持つかのように振る舞うもの」を生物と捉える生物の教養講座。生物を切り口にした科学哲学のような本でしたが、生物学的思考に慣れていないからか、理解は難しかったです。生物専攻の方に詳しく解説して欲しいっす。。。 「熱力学の第二法則」と「環境変化」を乗り切る生物。伊勢神宮方式で子孫を残す。 理科は唯一、意味、目的、価値を問うことは禁じられている教科。ただし、生物だけは、意味、目的、価値を問うことが許されている。生き物は、進化の結果、意味、目的、価値を持つかのように振舞っている。2019/08/12
すうさん
7
「ネズミの時間、象の時間」で有名な本川達雄さんの総仕上げのような本。生物はすべて円柱形であるという生物論から入るのだが、科学や社会歴史さらに時間論まで飛び出す。もちろんすべて空想や自分の想像ではなく、科学的な論証で語られる。現代社会や地球環境を見ながら、経済や文化、近代社会の在り方、人間の生き方(というより生物的意味で)まで熱く語る。アリストテレスの言葉がよく出てくるが、かなり印象的だった。あとがきには、若い学生に書いた本だとあるが、還暦前の私にも目からうろこ。ものすごく面白くかつ感動的な本だ。脱帽!2019/03/22