出版社内容情報
ルネッサンスが生みだした遠近法。東洋や日本の表現とも比較しつつ、絵画技法という枠を超え、その真の世界観的意義を掬いだす。解説 小田部胤久
内容説明
“遠近法”という表現様式は自明のものではなく、ルネッサンス期に確立したひとつの世界観である。パノフスキーらも論じてきた遠近法の成立や発展の背景を、本書は思想史的観点から深く掘り起こし、水墨画や日本絵画における表現法も引きくらべつつ、絵画の一技法という枠を越えて文化全体の文脈のなかで、その真の世界観的意義を捉えなおす。さらに、カントやヘーゲルなどのドイツ観念論における芸術理論、近代日本絵画における格闘を追いながら、美術と哲学の関わりを掬いだす。ユニークな切り口で美術史学の重要論点に切り込んだ名著。
目次
第1部 絵画空間の哲学(遠近法とは何か;科学革命と遠近法;遠近法の世界観的意義;近代絵画における遠近法からの離反;奥行の哲学的考察;東洋の遠近法;現代における遠近法)
第2部 ルネッサンスの美術
第3部 ドイツ観念論における芸術の位置
第4部 近代日本における西洋体験―岸田劉生の場合(西洋の音、西洋の色;岸田劉生)
著者等紹介
佐藤康邦[サトウヤスクニ]
1944‐2018年。東京生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。専攻は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
13
良本。絵画技法の発展と認識論の変化がアウフヘーベンしていく過程が良くわかる。また、美学についても簡潔にまとめられ、日本の西洋画導入についても述べられている。2024/02/12
Go Extreme
1
絵画空間の哲学 遠近法とは何か:以前の奥行表現 科学革命と遠近法;空間の無限性 自然の幾何学 遠近法の世界観的意義:空間の神聖化・世俗化 イタリア・ルネッサンス バロック 近代絵画における遠近法からの離反:飲酒王派の空間 セザンヌ 近代生活の画家 想定性理論の時代 奥行の哲学的考察:始元的奥行 間主観性 東洋の遠近法:水墨画 倭絵 現代における遠近法 ルネッサンスの美術:ルネッサンスの普遍性と相対化 ドイツ観念論における芸術の位置:理想・作品創作 近代日本における西洋体験:西洋の音、西洋の色 岸田劉生2024/02/22
horada
0
**2024/08/30