出版社内容情報
北京談判に際し、大久保は全責任を負い困難な交渉に当たった。その外交の全容を、太平洋戦争下の現実政治への弾劾を秘めて描く。解説 瀧井一博
北京談判に際し、大久保は全責任を負い困難な交渉に当たった。その外交の全容を、太平洋戦争下の現実政治への弾劾を秘めて描く。解説 村松剛・瀧井一博
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明治7(1874)年、日本の台湾出兵に清国が抗議、北京で二国間交渉がもたれた。大久保はこの北京談判で全責任を負って困難な交渉にあたり、その手腕を発揮して清国の譲歩を勝ち取る。旧友西郷隆盛と対立して朝鮮出兵を封じた大久保が、後に台湾出兵を進めたのはなぜか。北京談判での大久保の冷徹な現状認識、粘り、そして強い責任感と信念。征韓論争から北京談判まで、手紙や日記等豊富な史料をもとに、内政家として語られてきた大久保利通の外交を評価する。「明治の政治家はかつて責任を回避することを知らなかった」。本書には、太平洋戦争下の現実政治に対する、著者の鋭い弾劾が秘められている。
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「明治の政治家は決して、責任を回避しなかった。」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
75
著者清沢冽は戦前の政治評論家・ジャーナリスト。軍国主義の時勢において尚、自由主義的愛国者として孤高の言論を堅持。本書を戦時下1942年刊、終戦目前45年5月急逝。戦時下に密かに書き続けた『暗黒日記』でも知られる。明治維新の大立者に薩摩の西郷隆盛と大久保利通がいる。鹿児島での人気は断然西郷ドンにあり大久保は郷土の偉人でありながら非難されることさえ。だが西郷は破壊の人、建国の国家運営は大久保でなければならなかった。今は内政の時と征韓論の竹馬の友・西郷を排するが、後に琉球島民が台湾藩地に漂着・暴殺された件を⇒ 2023/11/24
辻井凌|つじー
1
清沢洌は本当に好きな人物。おすすめ。感想はnoteに。 https://note.com/nega9clecle/n/n69dbcb552f122023/10/14