出版社内容情報
私たちの何気ない行為にはどんな意味が含まれているか。その内幕を独自の分析手法によって鮮烈に浮かび上がらせた重要古典。新訳文庫オリジナル。
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公共の場で他人をじっと見ない、職場と家で言葉遣いが変わる、きちんとした場であえてふざけた態度をとってみる……。私たちが日々おこなっているこうした何気ない行為や振る舞い。そこにはどんな意味がひそんでいるのか。その背景を赤裸々なまでに分析してみせたのが、カナダ出身の社会学者、アーヴィング・ゴフマンだ。本書で彼は、人を社会という舞台のなかでつねに何らかの自己像を演出しようとしている存在だとみなし、パフォーマーとオーディエンスが織りなす相互行為として日常行為を捉えなおしていく。『行為と演技』という邦題でも親しまれてきたゴフマンの代表的著作、待望の新訳。
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誰もが誰かを演じている
相互行為論の新地平を拓いた不朽の名著、新訳決定版!
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【目次】
謝辞/まえがき
序論
第1章 パフォーマンス
第2章 チーム
第3章 領域とそこでの行動
第4章 見かけと食い違った役割
第5章 役柄から外れたコミュニケーション
第6章 印象管理の技法
第7章 結論
原注/訳注
ゴフマンは触発し続ける――訳者あとがきに代えて
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
63
社会とそこで活動する人間をどのようにとらえるかという大変なテーマを扱っており、その慎重な言い回しもあって読むのにかなり時間がかかった。演出論という演劇用語を多く用いる手法によって、人のパフォーマンスというミクロな視点から書き起こし、豊富な事例を紹介しながらそれこそ建物を建てるように、チーム、領域(表・裏・外部)といつの間にか社会が視野に入ってくる構成は、難しく感じられる部分も多かったが興味深い内容。著者も書くように(1959年時点での)アメリカのイギリス系社会の分析だが、色々と思い当たることも多かった。2023/07/31
ばんだねいっぺい
24
日常生活における自己呈示について、考察を深めることができる本。島宇宙ごとの状況の定義のためのコードを把握することが、社会的な合意形成に資すると理解した。めちゃくちゃ、面白い。2023/05/12
Arisaku_0225
15
む、難しい。概要としては、われわれが他者やグループ内でどのように振舞っているか(そしてそれがどのように受け取られているか)を演劇に例えながら、とても緻密に論考していくものであって、「すごい本」ということはわかるが、内容が全く頭に入ってこない。1つのパラグラフを理解したと思ったら前のパラグラフの内容が分からない、みたいなことが度々あって、これを全て理解するためには輪読会やゼミナールみたいなものをしない限り到底敵わなかった。 「(本書)を読む」みたいな解説本が欲しい……。2025/03/13
Ex libris 毒餃子
8
日常の場面ごとに人はそのときに応じた役割を演じる、ということを精緻に分析した本。然り然りとしか思えなかった。2024/06/23
てっき
6
書店で気になって購入した本。中身はコミュニケーションにおける相互行為に関する古典的研究。人間相互の関係性を演劇における演者と聴衆に置き換え、舞台上の演出やあるいは舞台裏での思惑といった行為、また演者間の舞台裏と舞台上での連携といった関係性から人間関係における相互行為を分析したものであるが、ハッキリ言って悪文のため、読了までには大分体力を消耗させられる一冊だった。内容としては、そもそも前提が全人類がペルソナを纏っている所を前提としており、性悪説というか欧米的思想の限定的発想だとは感じた。2023/11/03