出版社内容情報
ウクライナ、ポーランド、ベラルーシ。なぜこの地で1400万もの民間人が殺されたのか──。歴史の闇に封印された真実を暴く世界的ベストセラー。
内容説明
ウクライナ、ポーランド、ベラルーシ、バルト三国。この一帯はヒトラーとスターリンによって何度も蹂躙され暴虐の限りが尽くされた。死者およそ1400万。そこに戦闘で亡くなった兵士は含まれない。強制収容所でのガス殺だけではない。ポーランド知識人を集中的に銃殺した「カティンの森」事件。ソ連・ドイツ双方が、住民一掃を目指してウクライナで展開した「飢餓作戦」。なぜこの地はこれほど理不尽で無慈悲な大量殺人にさらされることになったのか。公文書館を回り、丹念に記録を掘り起こした歴史家の執念によって20世紀最大の蛮行の全貌がついに明らかに―。世界33カ国で刊行、圧倒的讃辞を集めた歴史書の金字塔。
目次
まえがき ヨーロッパ
序論 ヒトラーとスターリン
第1章 ソ連の飢饉
第2章 階級テロル
第3章 民族テロル
第4章 モロトフ=リッベントロップのヨーロッパ
第5章 アポカリプスの経済学
第6章 最終解決
著者等紹介
スナイダー,ティモシー[スナイダー,ティモシー] [Snyder,Timothy]
1969年、アメリカ合衆国オハイオ州生まれ。イェール大学教授。専門は中東欧史、ホロコースト史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
ウクライナやポーランド、ベラルーシ。ソ連と独逸に挟まれたこれら東欧の国々で主に第二次世界大戦中に何が起きたかを記した一冊。上巻はソ連の基金からスターリンの大テロルを経て最終解決まで。読んでいると共産主義とナチズムが如何に効率よく国民を数として管理しているかがわかり暗澹とした気分になる。どの頁も夥しい死者に彩られていて、表紙がもう墓碑銘にしか見えないし。あと個々に書かれた事実読んでると地獄の方がまだ牧歌的に感じられるなあ。少なくともあちらは死者がまだ個人でいられるが、こちらだと統計上の数字になってしまうし。2023/02/02
キムチ
52
8年前の刊行。手にする自信がなく満を持してのこの正月に読ませて貰う。学べた恩恵に心より敬意を表意。表題でランドとあるのはライン(地域)ではなく国々を指す。東欧の食の生産と消費で世界最大の規模を有するこの国々。と言っても大半はロシアに国策的に組み込まれた争点地。ナチス独はWW1の苦汁を飲み海運王国英に対するべくソ連を狙って行く。ソ連もスラブ下等国と勝手に決めつけたバルト3国、ベラルーシ、チェコ、墺、ポーランドを血塗って行く。1933のウクライナのジェノサイドも凄いが1941のジェノサイド(餓死とカニバリズム2024/01/03
秋良
22
歴史には時折、殺しの天才が現れる。それがヒトラーとスターリン(主にスターリン)。1931年から1945年までの間に、ポーランドや旧ソ連圏の流血地帯(ブラッドランド)で殺害された人数はおよそ1400万人。ここに戦死者は含まれない。ある時はイデオロギーを振りかざし、ある時は憎悪の矛先を誘導し、ある時は恐怖で支配して、国そのものを人を殺すシステムに変えていく。著者は平易な文章でそれを説明してくれるが、まれに主観的な解釈が入り込み不公平な部分も見られる。「悪」を研究対象として扱う難しさを思う。2023/07/05
てつ
20
人殺し軍団の始まり2022/12/18
ちゃま坊
19
「チャイルド44」という小説にスターリン時代の飢餓地獄が描写されていたが、ヒトラーのやった虐殺と合わせると1400万人という膨大な数字になる。ウクライナと、その周辺国で90年前に起こった史実だ。犠牲となったのはユダヤ人だけではない。ポーランド人、ウクライナ人、つごうの悪い自国民も大量に殺している。同志の粛清もやっている。死者の数字が積みあがってくると、虐殺を指示する独裁者にとって、命はただの数字になってくる。今もやってる戦争と驚くほど似ている場面もある。歴史は繰り返されるのか。2023/12/01
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