出版社内容情報
芸術や生物など、様々な事物に見られる対称性=シンメトリーに潜む数学的構造とは。世界的数学者による最晩年の名講義を新訳で。解説 落合啓之
内容説明
シンメトリー(対称性)はワイルが著作や講演のなかで折に触れ取り上げたテーマである。数学・物理学・哲学と幅広い分野に通暁したワイルにとって、シンメトリーは至る所でその姿を現す、深遠で重要な概念であった。生涯をかけて深めた思索が結実した本書は、刊行まもなく『サイエンス』誌より、「シンメトリーというテーマに関するこのような本や論文は今まで存在せず、さらに今後書かれるすべての本が、何らかの形でこの本に依拠することになろう」と評された。実際、ワイルならではの含蓄に富んだ叙述は、今なお読者に新しい洞察を与えてくれる。最晩年の名講義を新訳で。
著者等紹介
ワイル,ヘルマン[ワイル,ヘルマン] [Weyl,Hermann]
1885‐1955年。ドイツ生まれ。ゲッチンゲン大学でヒルベルトのもとに学ぶ。1933年に渡米し、プリンストン高等研究所で教授。群の表現論、リーマン面の理論などのほか、量子力学や相対性理論など物理学にもその力量を発揮した
冨永星[トミナガホシ]
京都生まれ。京都大学理学部数理科学系卒業。自由の森学園の教員などを経て、現在は翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maghrib
5
面白かった。建築・装飾・生物・物理に現れる対称性を、対称性を保存する変換がなす群として捉え、その群を通じて対称性を説明していく。位数5の回転群は生物にはよく見られる(ウニ)が建築や自然(雪)にはほとんど見られないこと、格子を保存する群が17種類しかないことは19世紀に証明された定理だが古代エジプトの装飾にこの17種類がすべて見られることなど。最後は相対性理論に関するローレンツ群、代数方程式の解に関するガロア群にも触れる。後半あまり理解できておらず、ワイルの数学観や自然観を読み取り切れていないため要再読。2023/09/01
mft
4
新訳。大学生の頃に旧訳では読んでいて、リズムは時間の中のシンメトリーだというようなフレーズが強く印象に残っていた。改めて読んでみたら後半は結晶群の話をしていて、その辺りは全然記憶に残っておらず数年前に結晶群の本を読んだときも思い出さなかったなあ2023/03/21
Yoshi
1
しばらく絶版だったので、新訳で出版されてうれしい。 読みたかった本。ワイルは数学者ですが、この本は認識とか美などの現実世界を対称性という観点から解釈し、当時、大きな影響を与えた本らしい。 ワイルの数学を勉強するのは大変だが、本書は、一般向けの本だから、数学的な知識はそれほどなくても読むことができる。2022/11/18
-
- 電子書籍
- 妄想高校教員 森下 3巻 ヤングガンガ…