出版社内容情報
土一揆から宗教、天下人の在り方まで、この時代の現象はすべて民衆の姿と切り離せない。「乱世の真の主役としての民衆」を焦点とした戦国時代史。
内容説明
応仁の乱以降の中世日本は、まさに戦乱の時代であった。民衆は、殺害、略奪、放火の危険にさらされつつ、無法地帯を生き抜いていかねばならなかった。戦国大名も自身の野心のためだけに行動できたわけではなく、「国を静謐せしめる」(平和の秩序を回復する)ことにその存在意義が求められた。「土一揆」から「宗教」、「天下人の在り方」まで、この時代の現象はすべて平和を願い、なんとか乱世を生き延びようとした民衆の姿と切り離して考えることはできない。「乱世の真の主役としての民衆」を焦点とした戦国時代史。
目次
戦国乱世に生きる―はじめに
1 土民の蜂起
2 一揆と村
3 戦国の大名・戦国の将軍
4 宗教の力
5 戦乱のなかの信仰
6 織田信長の入京
7 統一への道
自律の社会―おわりに
著者等紹介
神田千里[カンダチサト]
1949年東京都生まれ。東京大学文学部卒、1983年同大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。日本中世史専攻。高知大学人文学部教授、東洋大学文学部教授を経て東洋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
滅茶苦茶面白い。戦国時代を題材にしているが個々の事件や合戦に言及するのではなく、全体としてのシステムのようなものについて説かれているのだが、土一揆や一向一揆、信長の政策等について一気に新しい知見を仕入れる事が出来た。例えば一向一揆が「百姓の持ちたる国」という文言とは裏腹に本願寺の大名化だったり、将軍の権威が思ってたより遥かに重要なものであったり、信長と義昭の協力関係が思ってたより後迄続いていたりと。特に宗教に関する指摘が多く、今まで漠然としていたところが一気にはっきりした感じ。知識欲を満足させられる一冊。2021/10/07
眉毛ごもら
1
民衆は戦国乱世をどう生き抜いて来たかという本。寺社や公家の荘園の村は守護と荘園領主とだと荘園領主を選んだり、徳政一揆のある時には領主と相談の上参加したり拒否したりなど一方的な収奪関係ではないのだなと。村で団結して敵対関係にある寺社武将などと交渉し禁制を勝ち取ったり近隣の村と同盟を結び危機には対応するなど自治的な事もやっている。一向一揆はぶっちゃけ狂信者的なもんかなと思ってたが、意外と上層部は批判的だったりもとの主家や国人を立てたりなど村の対応と近い所があるようで考え方をアプデしなきゃと思わされる良書だ。2021/08/31