出版社内容情報
横溝正史の傑作ミステリー。そのモデルのひとつとされる津山三十人殺し。犯罪史に名を残す大量殺人はどんな事件か。もうひとつのモチーフとされる落武者殺しの伝説は、どのような伝承か。「八つ墓村を歩いてみませんか?」という誘いから始まった、虚構と現実を往復する取材旅の先にあった事実とは。解説 比嘉健二
カバーデザイン 井上則人
カバー写真 関根虎洸
集落内の墓地。いくつかの墓石の命日には「昭和十三年五月二十一日」という事件が起こった日付が刻まれていた――
【目次】
「八つ墓村」は実在する――ルポ「津山三十人殺し」と「落武者殺し伝説」
序 章 『八つ墓村』とはなにか?
第一章 「津山三十人殺し」の現場を歩く
第二章 「八人の落武者殺し」伝説を追う
第三章 史実と伝説を巡る旅路の果てに
終 章 幻の村、「八つ墓村」は実在する
あとがき 現実と虚構の狭間で
解説 比嘉健二
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
45
もちろん小説は実在の出来事などをそのまま書いてはいない。しかし作者・横溝正史がどれだけ現実からズラしているかを知るには、モデルとなった地方を訪ねるのが早い。結論をまとめて論じるよりも、本書のように時系列にそった旅行記・ルポとして書いてある方が、場所の感覚までが伝わってきて、リアルさがあり非常に読みやすい。現実とのズレから、作者の創作法・思考のあり方までがわかるかも。最初の方にあるように、横溝ブームのきっかけは少年マガジン版のコミック。コミック化の理由こそ、あのブームの真のきっかけのはずだ。ぜひ知りたい。2026/09/19
こばまり
36
みんな大好き八つ墓村。4度目の映画化を記念して過去のルポを文庫化。小説は作家が事件や史実、伝承などを織り交ぜ書き上げたものだから当然舞台はピンポイントに特定できないが、本ルポではその残り香のような風景を紹介している。併せて77年版の映画も何度目かの視聴。2026/10/07
佐倉
21
よく田治見要蔵の32人殺しのモデルとして都井睦雄の津山事件が挙げられる。実際、モデルにしていることは間違いないだろうが、岡山を取材する中で「山中一揆の首謀者を祀る六地蔵とそれを囲む二本杉」「山中一揆の首謀者が山中に逃げ込み山狩をするも洞窟内で発見された故事」「古くからある三十人ヶ仙という地名と事件のリンク」など津山事件だけでない、八つ墓村を構成する要素を次々と発見していく。横溝が戦中に岡山に疎開した際に見聞きしたこの地の伝説や空気感を巧みにサンプリングした結果が『八つ墓村』の生々しい存在感だったのだろう。2026/09/30
ふたば
14
テーマは面白いと思った。どこが、小説の舞台なのか。基底となる事件と歴史の事実、あちこちに舞台は散在する。当然だと思う。その現場を歩くのには意義があると思う。ただ、ここが『現場』であると限定するのは難しいだろう。小説はフィクションなのだから。2026/08/17
nishiyan
13
横溝正史の傑作ミステリー「八つ墓村」のモデルの一つとされる津山三十人殺しと山陰山陽地方で伝わる落ち武者伝説や怪談話の謎に迫ったルポルタージュの文庫版。津山三十人殺しに関しては筑波昭氏の労著から引用されているところが多いのだが、単行本が刊行された2005年当時には事件の被害者や関係者が存命というのには驚かされた。またもう一つのモチーフになっている落ち武者伝説を巡る探索だが、津山藩での山中一揆など血なまぐさい事件にあたりつつ、最終的に津山三十人殺しと結びついたのは偶然にしては出来すぎていると思った。2026/09/24




