出版社内容情報
学問への憧れ、忍ぶことのできない屈辱、暴力への静かなる抵抗――マルキシズムの風ふく昭和初期を駆け抜けた、真知子の愛と思想と友情の物語。
【目次】
内容説明
帝大で社会学を聴講する真知子は、保守的な母親から結婚問題を持ち出され、プチ・ブルジョアの体面を取り繕う滑稽な日常にいらだちを覚える。傾きかけた家の事情で大学を去った親友・米子が抱え込む苦悩にも無力なばかりだ。そんな彼女を焚きつけるように現れたのは、革命運動に信念を燃やす美貌の男・関。激しく魅かれ合うも、米子から彼の子を身ごもっていると知らされて―。
著者等紹介
野上弥生子[ノガミヤエコ]
1885年、大分県生まれ。明治女学校卒。夏目漱石の紹介で「縁」を「ホトトギス」に発表して以来、明治・大正・昭和という三時代を通じ80年余りの作家活動をおこなう。写実主義に根差す作風で女性たちが直面する生きづらさを見つめ、家父長制の物語に抗うとともに、戦争に向かう時代のなかでも体制におもねることなく反戦思想を訴え続けた。1957年『迷路』で読売文学賞、64年『秀吉と利休』で女流文学賞、86年『森』で日本文学大賞、71年には文化勲章などさまざまな賞を受賞。1985年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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