出版社内容情報
「私は、自叙伝を書くつもりはなく、自分のうちにある“父”を、書きたいのである」──獅子文六は横浜の裕福な貿易商の家に生まれるが、十歳のときに父親を失い、その悲しみはいつまでも消えなかった。この慕情は六十歳で授かった息子への強い愛情へ変わる。本作は獅子文六の少年期から青年期までと、そこから四十年をへた晩年の愛息との日々を描いた自伝的作品。解説 岩田敦夫
カバーデザイン 宇都宮三鈴
カバー装画 河村怜
内容説明
「私は、自叙伝を書くつもりはなく、自分のうちにある“父”を、書きたいのである」―獅子文六は横浜の裕福な貿易商の家に生まれるが、十歳のときに父親を失い、その悲しみはいつまでも消えなかった。この慕情は六十歳で授かった息子への強い愛情へ変わる。本作は獅子文六の少年期から青年期までと、そこから四十年をへた晩年の愛息との日々を描いた自伝的作品。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893‐1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。芸術院賞受賞、文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Inzaghico (Etsuko Oshita)
6
父親を恋う自分の話から、一男の父親となった自分の話へと移る。後半は我が子が我儘だのなんだのと、さんざんけなしているので、当の息子は、あとがきで、自分のことが書かれているので獅子の死後、しばらくは本書を読まなかったという。自分が父に愛され、甘やかされて育ったために、同じように息子を育てたいと思うが、時代があまりにも違いすぎた。獅子が育ったのは明治、息子が育ったのは昭和、それも戦後だ。 父親の乳を父親の体臭とともに思い出す、というのはいいな、と思った。2025/06/07