出版社内容情報
知られた作家ではないかもしれないが、静かに愛されてきた理由がある。飄逸でユーモアに溢れる世界は唯一無二。岡崎武志が編んだオリジナル短篇集。
内容説明
木山捷平は詩人として活動をはじめ、太宰治や井伏鱒二と交流を持ちながら小説家としての才能を開花させる。飄逸でユーモアに溢れる世界は唯一無二。決してよく知られた作家ではないが、現在まで静かに愛され続けてきた。木山作品をこよなく愛する岡崎武志が、木山自身を投影した“正介”が登場し東京の街を闊歩する作品を中心に編んだオリジナル作品集。「軽石」「苦いお茶」「下駄の腰掛」ほか収録。
著者等紹介
木山捷平[キヤマショウヘイ]
1904‐68年。岡山県生まれ。東洋大学中退。はじめは詩を書いていたが、1933年、太宰治らと同人誌「海豹」を創刊し小説家としても才能を開花させる。ついで保田與重郎の「日本浪漫派」に参加。終戦間際に満州にわたり現地召集を受け苦労した。1963年、『大陸の細道』で芸術選奨文部大臣賞受賞
岡崎武志[オカザキタケシ]
1957年大阪府生まれ。書評家、ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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禿童子
26
編者による木山捷平ベストチョイスと言うべき短篇集。「苦いお茶」、「釘」、「軽石」など何度読んでも味わい深いものがある。木山の満州体験は、生死の瀬戸際の中で深い抒情を感じる。改めて思うのは奥さんの愛情の深さをそれとなく筆に込めていること。明治人の横柄な物言いを奥さんが上手にリードして真綿でくるんでいる。太宰治との交情を記した一文は、才能豊かな友への哀惜の念がにじみ出ている。玉川上水でカエデの実生を集めるなどの小さいものへの愛着。没年に書かれた2作品には間近な死を見つめる諦観を感じる。また読んでみたい作家。2025/05/08
阿部義彦
17
好物ちくま文庫2ヵ月前の新刊です。文庫オリジナルのアンソロジーを選んでくれた、岡崎武志さんに感謝します。何ともとぼけた味のある小説を書く人なんでしょう。ほぼ自分の身の回りの事と過去の自分の体験らしき追憶を材料に、あちこち寄り道しながら語られる日常。つげ義春さんの「李さん一家」を思い出しました。太宰治と同時代人で、同じ同人誌で書いてた事も有ります。好きな話は「苦いお茶」が圧倒的でした。引揚者同士の時と場所を超えた結び付き。あと「釘」この話を元に漫画家の倉多江美さんが昔「一万十秒物語」で漫画化してましたね。2024/12/05
うた
5
くだらないことこの上ないのだけれど、力の抜け具合がたまらない。編者が後書きでビール片手に読めると書いていて、なるほどと思った。これ、水曜どうでしょうとかと同じノリなのだ。2024/10/17
Cちゃん
4
1904年生まれの作者、聞いた事もない人でした。おそらく戦中、戦後あたりの日本人の日常をユーモアを混じえて自分語りや、自身の分身的な正介という主人公を使って展開する短編集。今では使われなくなったような言い回しや言葉、そして当時の文化や習慣が興味深かった。ほぼ毎日お酒を飲み歩き家でも昼夜問わず飲み、飲んでいればご機嫌。ちょっとした事でご機嫌斜め。男尊女卑などなど全て当たり前。いや、おおらかで良いじゃないか。今の世の中ハラスメントにレイシズムにLGBTQに…。生きづらくなりました。2025/05/17
uh
1
何度も繰り返し読めるような滋味深い作風が心地よかった。「耳かき抄」「竹の花筒」「下駄の腰掛」「苦いお茶」が気に入った。2025/01/12