出版社内容情報
路線バス、コミュニティバス、高速バス、ツアーバス…バスに乗る時間は、楽しく、心地よく、ちょっと寂しい。名バスエッセイが、増補文庫化!
内容説明
東京や福岡の路線バス、コミュニティバス、高速バス、ツアーバス…詩人である著者は、ふらっとバスに乗り込むと、外の景色を眺め、本を読み、ぼんやりし、バス停の名前から物語を妄想し、乗客を観察する。終点まで行って、また同じ路線で折り返す。そんなバスの中の時間は、楽しく、心地よく、ちょっと寂しい。ユーモアと叙情を湛えた傑作バスエッセイの増補文庫版。
目次
森にいく
三つの席
よろける
雨上がりのバスは
四丁目から四谷へ
図書館まで
思い出経由、美容院いき
こんな偶然
浮き沈み
明暗ある道
王子様に会いに
天神まで
島部分
うまくいかない
ピアニシモの旅
いとこに会いに
ぐるぐるっと
成増におりません
桜をよけて
「あかいくつ」に乗って
真夏のめぐりん
ざわざわ
灯台まで
文庫版書き下ろし とどろき、桃の木
著者等紹介
平田俊子[ヒラタトシコ]
詩人。詩集に『戯れ言の自由』(紫式部文学賞)、『詩七日』(萩原朔太郎賞)、『ターミナル』(晩翠賞)などがある。戯曲「甘い傷」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞。幼稚園(鳥取県境港市・美哉幼稚園)と高校(山口県立徳山高校)には路線バスで通園、通学した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
65
子どもの頃は、乗り物に弱く、遠足の日はとても憂鬱でした。それでも今は、平田さんと同じように、路線バスに乗ることが大好きです。この著書の中で登場する路線も、同じように乗ることがあって、とても親近感を感じます。バスの中の観察はとてもユーモラスで、ほっこりさせてくれました。2025/01/09
ホークス
35
元本は2013年刊。著者は詩人との事。バスに乗るのが好きで、出発待ちしている知らない路線のバスにふと乗ってしまう。乗りたくなる冒険心とウキウキ感が素敵で、本書はそんなバスとの日々を綴ったもの。気取りがなくて具体的で、武田百合子の『富士日記』を連想させる。地元である東京のバス、母親の住む福岡県のバス、時には長距離バスにも乗る。乗ってからも忙しく、運転手さんや乗客を観察して人柄を想像し、通過する街の歴史を推理し、細い道を器用に走るバスを褒める。バス停の名から空想を巡らせる、言葉へのこだわりが詩人らしい。2025/09/17
pirokichi
29
著者のXをフォローしているのだが、つぶやきにほんとクスッとさせられて、さすが詩人は違うなあと常々思っていたところ、本書の発売を知り、喜び勇んで買い求めた。バスを見たらどこかに行くためでなく、乗るために乗ってしまうバス好きの著者によるバスエッセイ。やっぱり、クスッとニヤッと面白く、久しぶりに会った最近本を読まないという従姉にもいいよーと薦めてしまった。私も近頃は少し時間ができたので、乗るためだけにバスに乗って終点まで行ってみようかな。タイトルが回文だと感心していたのだが、よく見るとそうではなかった。2024/10/21
あやっぴ
28
バスはふだん通勤で同じところを利用するだけなので、こんな風に都心で行き当たりばったりで乗ることはほとんどない。人との距離も近いから人間観察も楽しいのだけどね。電車の駅名ならなんとなくあそこだ!と分かるけど、バスの行き先(バス停の名前)見て、ここどんな場所?何があるんだろう?とすごく気になることはある。時間ある時に私も探検してみたくなりました。2025/03/05
阿部義彦
27
ちくま文庫、10月の新刊。著者の平田俊子さんは詩人だそうです。結構お年を召した方らしいですが。私があっ!と思ったのは、「思い出経由、美容院いき」で、ずっとおかっぱだったのを、友達の京子ちゃんから、ださいと言われ、下北沢の美容院のバンちゃんという美容師を紹介して貰い、カットするが思い切り短くカットされて、バンちゃんを恨むが、別な友人が顔を見るなり「あ。可愛い。すごく似合ってる。」と言われたら、たちまち機嫌が直り、バンちゃんに一生ついて行こうと決めた。って言う所。女性の機微ですね。目的の無いバス旅の記録。2024/10/24
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