出版社内容情報
何気ないひと言を英語で言うとどうなるか。並べて観察すると見えてくる日本語独自の構造や性能、強さや弱さについて小説家である著者が考える。
内容説明
例えば「地元産」は英訳すると“locally grown”。「産出された」あとの状態を示す「産」が“grow”という動詞を用いて表される、とても英語らしい言いかただ。この表現の違いとはなんだろう。英語を鏡にして写し出される日本語の構造や性能、また立ち現れてくる強さや弱さなどについて、小説家である著者が考える。
目次
「いまどんなお気持ちですか」
「そのへんはどうですか」
「状況を説明してください」
「あなたはどちらの意見をお採りになりますか」
「こういう批判を、ご当人としてはどう受けとめますか」
「―ということは考えられますか」
「お知らせのあともニュースが続きます」
「どういうことなのでしょうか」
「―ということですか」
「それが憲法とどう関係してくるのですか」
「この問題に関して、首相が完全に的はずれであるというのが、情けない現実なのです」
「今日のこの出来事を踏まえた上で、ほかにどのような点に注意したらいいのでしょうか」
「あなたのおっしゃることの正当性がどのあたりにあるか、という問題になりますよねえ」
「いくらですか」
「価格破壊」
「環境に優しい」
「史上最悪の」
「ただちに目に見えるかたちでの結果」
「煙草を喫ってもいいですか」
「この話を私から聞いたなんて、誰にも言ってはいけないのよ」〔ほか〕
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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