出版社内容情報
20億年後の〈最後の人類〉が現在の人類に語る未来の歴史。壮大な人類進化の年代記を驚異の想像力と神話的ビジョンで描く伝説的名作、改訳文庫化。
内容説明
20億年後の“最後の人類”が現在の人類に語る未来の歴史。数度の世界戦争、疫病の蔓延と地球規模の環境激変、火星人類の侵略など度重なる災禍によって退行した人類は、やがて再び進化の階梯を登り始める。超人類の創造と諸文明の興亡、果てしなき流れの果てに人類が辿り着いた場所とは…。20億年に及ぶ壮大な人類進化の年代記を驚異の想像力と神話的ヴィジョンで描いた伝説的名作。改訳文庫化。
著者等紹介
ステープルドン,オラフ[ステープルドン,オラフ] [Stapledon,Olaf]
イギリスの作家、哲学者。1886年生まれ。初の著作『現代の倫理学』を発表した翌年、『最後にして最初の人類』(1930)で注目を集め、独自の哲学的思弁とヴィジョンに満ちた壮大な宇宙年代記は読書界に衝撃を与えた。1950年没
浜口稔[ハマグチミノル]
1953年沖縄県生まれ。明治大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
40
新刊コーナーより。1930年代出版当時、時の本となったという作品の和訳です。映画化されたことが出版のきっかけな模様。スターウォーズなどSFにも影響を与えたのかしら?思い込みと情熱と、緻密な設定は「2001年宇宙の旅」をさらにディープにさせた作品というか、ダンテの神曲のようなというか…。ミルトンの失楽園みたい。ところどころに臭う白人男性の優越感が、アジア人女性の自分にはちょっと鼻につくかなあ。2024/07/10
Shun
32
ステープルドンの驚異的想像力で描く人類史20億年。この構想はもはや唯一無二、壮大かつ哲学的な思考実験で人類が辿るかもしれない数億年の軌跡が記されている。まず情報量が膨大すぎて集中力を切らしたら書いてある内容が入ってこなかったりと読破すること自体大変な労力を要するが、”最後の人類”の姿や状況を知るための長い人類進化の歴史を旅しているようで愉しかった。概要は20億年後の人類が現代の一人類に人類が辿る歴史を伝え、それを現代の作家が記述したものが本作という挑戦的なSF作品。「スターメイカー」より難解に感じました。2024/10/08
塩崎ツトム
20
誰が言ったか忘れたが「歴史は繰り返さないが韻を踏む」らしい。人類の世代が変わるが、愚行は変わらず、思い違い、すれ違いが起こり、その様が「映像の世紀」のように、現実の記録映像と重なる。……小説内の人類より早く、わたしたちは宇宙に(ちょっとだけ)進出しているが、それは文明的進歩と言えるのか?愛や心のない、科学的進歩と豊かさ……。2025/01/11
maimai
9
いやいや、時間がかかった。ようやく読み終えた。人類の進化・文明・心性をめぐる哲学のような哲学的妄想のようなものを、特異な語り手が延々と語り続ける長編。文章で綴られたフィクションを「小説」と名付けるのならば、これも「小説」には違いないのだが…。読み続けるには相当の体力が必要だった。決して面白くないわけではない。むしろところどころ強烈に面白い。普通の作家が書いたら10や20の長編に膨らませられるようなアイディアを次から次へと現れて、しかも淡々と語られるので、こちらの思考が追いついていかないと言った方が近い。2025/04/15
keichato
3
読んだぞ!わからない部分も多かったけど、とにかく壮大で読み終えるとものすごい達成感が味わえた。 哲学的だし淡々と書かれているので、何度も寝落ちした。 人類が様々な姿に進化/退化する様子が、ドゥーガルディクソンの「マン・アフター・マン」(1993)を思い出させた。 それにしても、なんでこんなこと思いつくんだろう。20億年先までの人類史なんて、どうやって想像するんだろう。 全然深く読めていないと思うけど、壮大で深淵で、なんかよくわらんけど凄い、という読書体験が味わえて楽しかった。 でも、やっぱしんどかった! 2024/06/15