出版社内容情報
機知横溢で完璧な構成美、意外な結末と小説としての面白さを求めたミステリ作家佐野洋の知る人ぞ知る傑作ショートショート集が完全版で復活。
内容説明
小説の面白さを追求し続けた作家・佐野洋。人間の尽きることのない欲望を無駄のない描写とテンポのよい運びで読ませる物語は、古びることのない魅力を持つ。さらに、その全てには予想を裏切る結末も―。人間世界を見つめる“見習い天使”が全23篇の案内役を務める構成も洒落た連作ミステリが完全版で甦る。巻末には編者日下三蔵の詳細な解説に加え、星新一による解説も特別収録する。
著者等紹介
佐野洋[サノヨウ]
1928‐2013年。東京生まれ。東京大学文学部卒業後、1953年読売新聞社入社。58年「銅婚式」が「週刊朝日」と「宝石」共催の懸賞小説に入選しデビュー。59年『一本の鉛』を発表し作家専業となる。65年『華麗なる醜聞』で日本推理作家協会賞。73~79年まで日本推理作家協会理事長をつとめ、97年にはミステリ界への多年の功績により第1回日本ミステリー文学大賞を受賞。2009年には第57回菊池寛賞受賞。また短篇の名手として1200編を超える秀作を残した
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。SF・ミステリ評論家、アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
48
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/04/post-c696fe.html 週刊誌連載だったということで一篇ずつが非常に短く、解説が赤川次郎氏だというのもうなずけます。2024/04/24
優希
41
テンポの良い遊びに満ちたショートショート。結末に裏切られつのもまた楽しいものです。面白かったです。2024/02/13
Shun
33
初読み。多くのミステリ短編を遺した作家で、秀逸なミステリ短編が多数収録されています。短編は個別に読めて様々なオチが用意されていて見事、そしてブラックユーモアが効いていてセンスも良い。どんでん返しとまでは言わないがオチには軽い驚きがまっていて、作品ごとに様々なシチュエーションが描かれているのもあり結末をどう持っていくのかが楽しめるポイントとなっていました。そしてこれら全ての話は、表題の”見習い天使”が人間界を観察して描かれたような構成をとり、天使には未知の人間の不思議な習性を見ているような気分で愉しめる。2023/10/12
ゆみのすけ
29
見習い天使のイラストに惹かれ、ジャケ買い。1960年代に発表されたショートショートが23篇収録されている。日本人の倫理観に古さを感じるところもあるが、それを上回る構成・アイディアの巧みさが魅力的。見習い天使が人間とはどんな生き物かということを解説し、それに纏わる物語が展開される。騙し騙され、欲望のままに生きる人間を時に滑稽に、時に戒めの気持ちも込め描かれている。とても読みやすかった。2023/09/24
加納恭史
15
キケローの「弁論家について」は法廷弁護人やストア哲学の冗長な展開でありもて余し気味である。少し軽い話でもないかと本屋でこの本が目に留まる。星新一が推理小説の参考として本書を推薦している。それにしても見習い天使なんて、推理小説になるのかな。第一話は「黒い服の女」で、見習い天使の挨拶が最初にある。このたび天使の臨時大増員により、新たに任命された、最下級の天使です。天使は神の使いとして、地上の人々に適切な助言を与える任務ですが上手くできるかどうか?黒い服の女はホテルの「月の間」に泊まった。それが殺し屋だった。2023/09/26