出版社内容情報
熊鍋、兎飯、筍鉄砲焼き、ヨシノボリたたき
冬泥鰌筏焼き、錆鮎赤煮、沢蟹ドレッシング……
里山をまるごといただく
90皿のうま汁小説
飛?の古川に、全国から舌の肥えた客が詰めかける一軒の名料理茶屋がある。その名は「右官屋権之丞」。飛?の匠の末裔が、匠の心はそのままに、鑿を包丁に持ち替えて開いた店だ。扱う食材は、鳥獣、川魚、山菜など周囲にある自然の恵みや、塩鯨など歴史的に用いられてきた素朴な食材のみ。しかし、その素材を活かし切る技法が想像を絶する一皿を生む。
ちくま文庫オリジナル。
内容説明
飛騨の古川に、全国から舌の肥えた客が詰めかける一軒の名料理茶屋がある。その名は「右官屋権之丞」。飛騨の匠の末裔が、匠の心はそのままに、鑿を包丁に持ち替えて開いた店だ。扱う食材は、鳥獣、川魚、山菜など周囲にある自然の恵みや、塩鯨など歴史的に用いられてきた素朴な食材のみ。しかし、その素材を活かし切る技法が想像を絶する一皿を生む。ちくま文庫オリジナル。
著者等紹介
小泉武夫[コイズミタケオ]
1943年、福島県の造り酒屋に生まれる。東京農業大学名誉教授。専門は醸造学・発酵学・食文化論。専門的な話を、分かりやすく伝える達人。また食の未来を中心に、日本が抱える多くの大問題に挑んでいることから、「箸を持った憂国の士」と評される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
48
小泉博士の小説。「漁師の肉は腐らない」の二匹目のドジョウか。まあ所々なるほどと思うところもあるが自分には合わなかった。妙に小説仕立てにするよりエッセイの方がわかりやすい。2023/12/04
ようはん
21
小泉先生が語る飛騨の地産地消のジビエ料理店「右官屋権之丞」の物語。軍鶏鍋、猪のカツ、ヨシノボリの刺身と名前聞いただけで食べたくなる魅力的なメニューが多い。飛騨は去年含めて2回訪れたけどまた行ってみたい気持ちにもなる。2024/03/30
Tomomi Yazaki
19
飛騨の由緒ある建築に携わってきた右官の子孫、誠一郎。彼は猟のかたわら、息子とジビエ料理の店を営んでいる。その腕前は確かで、お任せ料理を楽しみにする来客が絶えない。レシピやコツも詳しく解説されています。キジ、野ウサギ、茸、熊、そして猪。先生得意のオノマトペも相まって、その美味しさが熱く伝わります!ああ、たまらない!軍鶏の水炊きも食べてみたい!物語もさることながら、これだけ詳しく多くの食材やレシピを綴るのは容易ではありません。読んでいて楽しく、そして幸せな気持ちになる一冊です。2023/08/16
モーモー
13
飛騨の古川にある名物茶屋「右官屋権之丞」店。 食材は獣肉、野鳥、川魚、山菜などの自然の恵みをいかしたもの。 作者のご飯好きなことが伝わってくる文章でした。 2023/08/03
みかん
7
先日読んだ『マタギ』では、熊始め狩猟でとられた山の肉を筆者が「あまり美味しいと思っていないけど無理にありがたがっている」ように感じられた。対してこの『熊の肉~』は非常に美味しそうに感じる。マタギと料理人との料理の重点の置き方の違いもあるだろうけど、そもそも筆者が山のもの川のもののそのものを「美味しい」と感じているかの差であるように思う。山で美味しいものを食べるといる原体験がないと山から離れていく趣旨の『マタギ』の一節を思い出す。2023/08/31