出版社内容情報
同時代の映画監督7人と対比し、オーバーラップを嫌い、3,4種類のショットを繰り返す小津独自の撮り方はどのようにして確立したのかを炙りだす。
内容説明
若くして映画の道に入り、撮影助手を経て助監督となり、24歳で監督となった小津安二郎。移動撮影やオーヴァーラップやパンをせず、ローアングルから撮ったショットを積み重ねる静的映像をどのようにして確立していったのか。憧れのルビッチ、同時代に影響し合った溝口健二や五所平之助、清水宏、成瀬巳喜男、木下惠介、加藤泰ら7人の監督との関わりを軸に小津安二郎の映画作りの極意を描きだす。
目次
はじめに、もしくは若き日の映画監督
1 溝口健二、反小津的カメラワーク
2 憧れのエルンスト・ルビッチ
3 五所平之助、もう一人のルビッチ好き
4 小津安二郎のコンティニュイティ
5 清水宏と風物病
6 成瀬巳喜男と「二人の小津」
7 木下惠介と日本のカラー映画
8 加藤泰と「緋牡丹博徒」
おわりに、もしくは小津と黒澤
著者等紹介
貴田庄[キダショウ]
1947年青森県弘前市生まれ。評論家。早稲田大学大学院修士課程修了、芸術学専攻。専門は映画史、西洋美術史、書物工芸史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
74
七人の監督を通して、小津安二郎の映画術を語る。溝口健二と小津のカメラワークを見つめたり、小津のエルンスト・ルビッチ好きを語ったり、木下恵介とカラー映画を見つめたり、加藤泰とローアングルを見つめたり。小津映画についてこれまでも語られてきたことを違う監督を通して見つめることで新たな気づきを与えられたように思う。文中に書かれていたが、「エロ神の怨霊」なんて無声映画を小津は撮っていたらしく、見てみたくなった。残念ながら、フィルムは残っていないそうだが。2023/07/30
明石です
3
本屋で衝動買い。思いのほか素晴らしく、1日で読み終えてしまった。2023/07/09
サトル
0
タイトルに惹かれて買って読んでみたが、中身は至って断片的で、どこかの記事を切り抜いてきたような薄っぺらいものだった。小津安二郎(1903~1963)と彼の周辺にいた七人の映画監督とは衣笠貞之助(1896~1982)溝口健二(1898~1956)五所平之助(1902~1981)清水宏(1903~1966)成瀬巳喜男(1905~1969)黒澤明(1910~1998)木下恵介(1912~1998)を指しているようだが、その関りは初めの前書きで殆ど言い尽くされていた。枝葉末節な解説が繰り返された残念な本だった。2024/04/07