出版社内容情報
近世絵画にはまだまだ謎が潜んでいる! 若冲、芦雪、写楽などの作品を丹念に読み解くことで、封印されてきた〝真実〟を掘り起こす。解説 辻惟雄
内容説明
江戸絵画にはまだまだ謎が潜んでいる!又兵衛、一蝶、若冲、蕭白、芦雪、岸駒、北斎、写楽をとりあげ、その作品を虚心に見つめ、文献資料を緻密に読み解くことで、社会的・政治的・文化的にタブーとされた謎にせまる。特異の絵師たちの等身大の人間性を深く掘り下げ、絵画に隠された意味を読み解く刺激的試み。
目次
第1章 岩佐又兵衛 心的外傷の克服
第2章 英一蝶 蹉跌の真実
第3章 伊藤若冲 「畸人」の真面目
第4章 曾我蕭白 ふたりの「狂者」
第5章 長沢芦雪 自尊の顛末
第6章 岸駒 悪名の権化
第7章 葛飾北斎 富士信仰の裾野
第8章 東洲斎写楽 「謎の絵師」という迷妄
著者等紹介
狩野博幸[カノヒロユキ]
1947年福岡県生まれ。日本近世美術史家、京都国立博物館名誉館員。九州大学文学部哲学科美学・美術史専攻卒業。同大学院博士課程中退。帝塚山大学、京都国立博物館を経て、同志社大学教授。専門は桃山絵画、江戸絵画。特に狩野派・長谷川派・琳派・浮世絵・18世紀京都画派が研究領域。京博時代は、数々の名企画展を手がけた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみしん tomisin555
3
年末に新刊文庫で目ににとまって購入。読了まで時間がかかった。僕は漠然と8人の江戸期画家について、その作品の評論を中心に構成されていると思っていたのだけど、むしろ彼らの生き方についての考察が中心で、それぞれ作品については図版つきで別立ての解説という体裁。時間はかかったといっても言い換ればば読みごたえがあったということで、特に三章の若冲から続く京の画家四人の章がよかった。若冲についてはこれまでの人物の印象がかなり変わった。そして解説者によると、著者は京都から始まった若冲ブームの火付け役でもあったと。2023/01/17
kana0202
2
おもろい。が、著者が重要視する表現の時代性、以外の見方もあり得ることは、当たり前。すべてが検証ならばそこに批評性も創造性もなくなり、歴史家と同じになる。解説はつまらないので読む必要なし。解説の、岩佐又兵衛の絵が春画に似ていると言う指摘だけは面白かった。2023/03/18