出版社内容情報
ちば てつや[チバ テツヤ]
著・文・その他
内容説明
ちばてつやが、金子みすゞの詩21編をカラーイラストと文章で読み解く。空、風、海、雲、花、祭り、子どもたち、小鳥、虫や魚たち…。満州から日本への引揚者だった、ちば自身の幼いころの体験を織りまぜて、忘れかけていた日本の風景や生活を描き出す。人や自然のほんとうの美しさ、素晴らしさを漫画界の巨匠が思いを込めて読者におくる。
目次
みんなを好きに
土と草
にはとり
ばあやのお話
波
私と小鳥と鈴と
さかむけ
まつりの太鼓
祭のあくる日
不思議
星とたんぽぽ
砂の王国
こだまでせうか
夕ぐれ
大漁
巡礼
こころ
積もった雪
かるた
大晦日と元日
雪
著者等紹介
ちばてつや[チバテツヤ]
本名:千葉徹弥。1939年(昭和14年)1月11日、東京築地の聖路加病院で生まれる。同年11月に朝鮮半島を経て、1941年1月旧満州・奉天(現中国・遼寧省瀋陽)に渡る。1945年終戦。翌年中国より引揚げる。1950年、友人の作る漫画同人誌「漫画クラブ」に参加。1956年、単行本作品でプロデビュー。1958年「ママのバイオリン」で雑誌連載を始め、1961年「ちかいの魔球」で週刊少年誌にデビュー。公益社団法人日本漫画家協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
117
この二人の組み合わせ、良いなあ。ちばてつやさんが金子みすゞさんの詩を読み、そこから浮かび上がってきた光景や人の姿の絵を描いている。詩も絵もどこか懐かしさと優しさに溢れていて、読み進めるうちに心の呼吸が整っていく気がした。ただ優しいばかりじゃなくて、見つめた先の本質を子供心ながらに感じ取る"無垢で芯のある優しさ"が言葉と絵に表れていると思った。それは日々の中、大人たちがいつの間にか忘れていたものかもしれない。みすゞ姉さんとてっちゃんの絵日記で自分の心の奥に隠れていた気負いのない童心がひょいと顔を見せてきた。2022/09/18
クプクプ
76
本屋さんの本棚から、この本が私を呼んでいたので買いました。私は、金子みすゞさんの詩集を読むのは2冊目です。今回は、ちばてつやさんのエッセイと、金子みすゞさんの詩と、ちばてつやさんのカラーの絵が見開きで載っています。「あしたのジョー」に出てくる女性キャラクターの絵に、背景は懐かしい昭和の風景で、色使いも鮮やかです。30分で読み終わってしまう本ですが、金子みすゞさんと、ちばてつやさんの世界がマッチして、私も「あしたのジョー」ドンピシャ世代なので、感動して涙がこみ上げてきました。2023/08/27
forest rise field
37
病院の待ち時間の間に読めた。検査の前の緊張を緩めてくれました。読書も時と場所、場合によって読み分ける様になったので、こういう作品は持ち歩きにありがたい。作品はというと、金子みすゞの詩にちばてつや先生の絵が相まってなかなか良かった。古き良き日本の懐かしい風景をうまく描写されてます。2022/10/12
こうすけ
24
書影がないのがもったいない。金子みすゞの詩に、ちばてつやがイラストとエッセイをつける、という変わった取り合わせが絶妙。このマッチメイクを考案した人はすごい。ちばてつやの絵があたたかく繊細で、とにかく良く、読んでいてため息が出る。 2022/09/15
あきあかね
22
金子みすゞの詩と、詩の情景を描いたちばてつやのイラスト。詩と絵のどちらもやさしさとあたたかさに満ちていて、和やかな心持ちにしてくれる。ちばてつやの漫画作品は、お母さんを亡くした大家族を描いた『1·2·3と4·5·ロク』や特攻隊員の若者たちを描いた『紫電改のタカ』のように、辛い出来事があっても基底には人間性への信頼があり、ぬくもりが感じられる。 金子みすゞの詩も同様に、えも言われぬ大きなやさしさに包まれている。その背景には、見えないものを見る力、想像力があるように思える。⇒2022/10/14