出版社内容情報
世界的な流行をみせた「スペイン風邪」の発祥地は、じつは、アメリカのカンザスだった。科学者たちの苦闘を追う、迫真のノンフィクション。
内容説明
1918年から1919年にかけて、世界的大流行を見せた「スペイン風邪」。その発祥地は、実はアメリカ・カンザスだった。アメリカの第一次世界大戦参戦をきっかけにして、ヨーロッパを巻き込んだ歴史的パンデミックが引き起こされる。ウイルスの感染拡大に抵抗した医学者たちの軌跡を生々しい筆致で描いた第一級のドキュメント、待望の文庫化。
目次
1 群れ
2 火薬庫
3 始まり
4 爆発
5 流行病
6 競争
著者等紹介
バリー,ジョン[バリー,ジョン] [Barry,John M.]
1947年生まれ、科学史家。2004年に刊行された『グレート・インフルエンザ―ウイルスに立ち向かった科学者たち』は米国で高く評価され、現在も版を重ねている
平澤正夫[ヒラザワマサオ]
1929年生まれ、ジャーナリスト。2005年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
21
スペイン風邪を題材にその流行の経緯をまとめた一冊。著者が科学史家ということもあり、科学者たちの取り組みに重点をおいて書いている。コロナ流行の今読んでみると、マスクなし、密な居住状況(流行の始まった兵舎はその最たる例)、医療体制の未整備など読んでいて恐ろしくなりました。インフルエンザ自体の解説ももちろんあり、研究もスムーズに進んだわけではなく、インフルエンザ菌という今では病原菌ではないと判明しているが、当時の研究で一時的に病原菌と考えられたものの登場経緯も書いている。2021/02/17
D21 レム
9
アメリカの視点で書かれたスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザパンデミックの詳細。戦争で亡くなった人よりも、過密状態の兵舎他、もろもろの事情で病気で亡くなった人のほうが多いという事実を知る。各地から集まってくる兵士は各自の病原菌を他の地方の兵士に感染させてしまう。パンデミックの中での研究者が病気の原因となるものを探す作業の繁雑さには気が遠くなる。研究用アルコールを誰かが飲んでしまって、水にかわっていたため、膨大な研究の結果が間違ってしまったなど、我慢の限界をこえていたのでは。それでも科学者は原因を探求する。2021/06/25
Ex libris 毒餃子
5
アメリカでのスペイン風邪流行の過程を描いた本。ウィルソン大統領の内政が結構、ドン引き。戦時挙国一致体制で感染症流行に関する情報統制やフィラデルフィア市政の失敗からドンドン感染が広がっていく。2021/01/31
tsubomi
3
2023.01.23-02.10:最初にインフルエンザウイルスについての基本知識(自然宿主はトリ、RNAウイルスの突然変異速度はDNAウイルスノ1-100万倍、血球凝集素には15個・ノイラミニダーゼには9個の基本型が存在H、H3N2がヒト間で流行)がわかりやすく解説され、なぜ“スペイン”風邪と呼ばれるようになったのか、当時の世界情勢・各国政府の対応などについて解説。総力戦で市民の犠牲の上に行った大規模徴兵と欧州派兵、肉・ガソリン・小麦の不足、ロックフェラー研究所立ち上げなど当時の新聞を読むよう。2023/02/10
fuku
2
インフルエンザ凄い2021/01/19